東京計器が11月11日に発表した2023年3月期第2四半期(4~9月)連結業績によると、売上高は、183億8,000万円(前年同期比1.2%増)、営業利益△6億1,500万円(前年同期は+2,600万円)、経常利益は△3億2,200万円(前年同期は+2億3,500万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は△2億2,900万円(前年同期は+2億2,900万円)となった。
4~9月期における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う原油・原材料価格の高騰、半導体をはじめとする部品供給不足の長期化等を背景としたインフレ圧力が強まり、各国の金融引き締めが加速したことから、景気回復への影響が懸念される厳しい状況が継続した。我が国経済も従来からの半導体等の部品供給不足に加え、日米金利差の拡大を背景とした急激な円安進行など、先行き不透明な状況が継続した。
このような経営環境の下、東京計器グループの第2四半期連結累計期間の業績については、その他の事業に含まれる鉄道機器事業が好調に推移したこと、及び船舶港湾機器事業における円安効果等により、売上高は前年同期比で増収となった。一方で、原材料価格の高騰、及び製品ミックスの変化等により原価率が上昇したことに加え、販管費も増加したことから、損益面は前年同期比で減益となった。
■セグメント別業績
〔船舶港湾機器事業〕
売上高43億9,800万円(前年同期比4.1%増)、営業利益1億6,600万円(同6.1%減)
売上高の状況:商船市場において、長納期化する部品を確保するため先行手配等に努めたものの、調達に遅れが生じたことから販売が減少した。一方で、海外市場において、アジアでの新造船向け機器販売や欧米でのOEM製品の販売、保守サービスが堅調に推移したことに加え、為替が円安に推移したことから売上高が増加した。この結果、売上高は前年同期比で増収となった。
営業利益の状況:円安効果はあったものの、原材料価格の高騰による原価率の上昇等により、営業利益は前年同期比で減益となった
〔油空圧機器事業〕
売上高56億8,600万円(同3.0%増)、営業損失△1億4,000万円(同△8,000万円)。
売上高の状況:海外市場において、ゼロコロナ政策による中国経済の停滞と、その影響を受けた韓国・台湾での需要減少等により販売が減少した。一方で、工作機械市場において、自動化・高効率化を目的とした設備投資が堅調に推移したことに加え、建設機械市場でも、国内の公共投資の継続や民間設備投資の回復により販売が増加した。この結果、売上高は前年同期比で増収となった。
営業利益の状況:売価の適正化による利益確保に取り組んだものの、想定以上の原材料価格の高騰、光熱費の増加、及び成長投資の実施等により、営業損失となった。
〔流体機器事業〕
売上高13億3,400万円(同8.1%減)、営業損失△1億7,100万円(同△9,300万円)。
売上高の状況:消火設備市場において、「ガス系消火設備の容器弁点検の安全性に係る点検」に基づく部品販売及び交換工事が好調に推移した。一方で、官需市場において、下水道及び農業用水向け案件が減少したことから、主力の超音波流量計の販売が減少した。この結果、売上高は前年同期比で減収となった。
営業利益の状況:売上高の減少、原材料価格の高騰等により、営業損失となった。なお、事業の特性上、販売が第4四半期に集中するため、第2四半期は営業損失となる傾向にある。
〔防衛・通信機器事業〕
売上高,56億600万円(同6.6%減)、営業損失△4億7,600万円(同△5億4,500万円)
売上高の状況:防衛事業において、昨年までの案件の谷間から回復に転じ、哨戒ヘリコプター用逆探装置等の販売が増加した。一方で、通信機器事業において、衛星通信用アンテナスタビライザーの販売が下期に集中するとともに、放送局向け機器の一部が来期以降に繰り越しになったことから、上期における販売が減少した。この結果、全体としては、売上高は前年同期比で減収となった。
営業利益の状況:売上高の減少、製品ミックスの変化による原価率の上昇、及び光熱費の増加等により、営業損失となった。
〔その他の事業〕
売上高15億6,600万円(同32.5%増)、営業利益5,700万円(同+9,900万円)
売上高の状況:同事業に含まれる検査機器事業は、前年同期並みで推移した。一方で、鉄道機器事業は、主力の超音波レール探傷車の販売が増加した。この結果、全体としては、売上高は前年同期比で増収となった。
営業利益の状況:鉄道機器事業において、超音波レール探傷車の販売増加により原価率が改善したことで、営業利益は前年同期比で増益となった
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2023 年3月期の連結業績予想については、5月13日に公表した業績予想に対し、売上高については、船舶港湾機器事業での円安効果や、案件の谷間から回復した防衛・通信機器事業、及び機器販売が増えている鉄道機器事業における売上高増加が見込まれ、受注残高も高水準となっている。一方、部品の供給不足による来期以降への案件の繰り越しが多いことや、油空圧機器事業の中国市場における産業機械の需要停滞の継続が見込まれることから、前回発表予想をやや下回る見込みとなった。利益については、売上高の減少、想定以上の原油、原材料、及び半導体等の価格高騰の影響を大きく受け、各事業で売価の適正化に取り組んでいるものの、効果を得るのに時間を要することや、高付加価値案件の繰り越し等から、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益が前回発表予想を下回る見込みとなった。以上の点から、2023年3月期連結業績は、下記の通り修正した。
売上高447億円(前期比7.7%増)、営業利益10億4,000万円(同36.4%減)、経常利益14億1,000万円(同26.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9億6,000万円(同35.7%減)。
なお、2023 年3月期の配当については、期初の予定を維持し、1株当たり普通配当5円を増配し、年間30円を実施する予定。
コメントを投稿するにはログインしてください。