・取り逃がさない・落下させない精密ハンドで、製造現場の生産性向上に貢献
NTNは11月9日、軽可搬重量(5kg以下)のピッキングロボット向けに、小型・軽量で、0~100°の範囲で設定した任意の2点の角度に姿勢変更が可能な「ロータリアクチュエータ式ハンド」を開発したと発表した。ピッキングロボットの先端部に装着し、ランダムな姿勢の対象部品(以下、ワーク)に対してさまざまな方向・角度からのピッキングが可能となる。ワークの取り逃しや搬送時の落下を防止することにより、搬送や整列における生産性の向上に貢献する。
ピッキング作業には、一般的に高速で強度の高い水平多関節ロボット(以下、スカラロボット)が使用されている。スカラロボットは、ワークに対して横方向や斜め方向からのピッキングができず、上方からのピッキングに限定されるため、ピッキング可能な姿勢のワークが流れてくるまで待機することがあった。さらに、ロボットの先端に装着するハンドは一般的に重量が大きく、可搬重量が大きいロボットが必要となり、ロボットの動作速度が遅くなったり、周辺装置との干渉を回避するため装置全体が大型化することも課題となっていた。
開発した「ロータリアクチュエータ式ハンド」はロータリアクチュエータの回転軸を中心にワークを掴むチャック部との締結部が回転することで、チャック部の位置や姿勢を0~100°の範囲で設定した2点の角度に変更することが可能。ピッキングロボットの先端部で開発品を回転させることで、横方向や斜め方向からのピッキングが可能となり、ワークの取り逃がしを大幅に削減する。ロータリアクチュエータ、チャック部をコンパクトに一体化することで、小型・軽量化を図るとともに周辺装置の干渉も防止している。さらにチャック部のツメ形状を最適化することによりワークの落下も防止する。
スカラロボットを用いたピッキングロボットと開発品を組み合わせることで、従来では困難とされていたランダムな姿勢のワークを高速でピッキングすることが可能となり、生産性の向上に貢献する。さらにピッキング後の搬送中にワークの姿勢を変更することも可能なため、ワーク姿勢を整える機構や工程を省略することができ、搬送ラインのコンパクト化にも貢献する。
NTNは、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2において、新領域である「ロボット周辺モジュール」分野の強化に取り組んでいる。開発品を含め、これまで培ってきた精密加工や位置決め技術を応用した商品の開発・提供を通じて製造現場の自動化や効率化に貢献し、ロボット市場のさらなる発展に寄与していく。
詳細は、ニュースリリース
コメントを投稿するにはログインしてください。