日精エー・エス・ビー機械が11月9日に発表した2022年9月期(2021年10~2022年9月)連結業績によると、売上高は過去最高だった前期の反動により30,277百万円(前期比84.4%)と減収となった。販売成績については、生活必需品容器を中心とした引き合いは依然として底堅く、また、為替の円安効果もあり、受注高は33,223百万円(前期比100.8%)、当期末の受注残高は15,048百万円(前期末比120.9%)とそれぞれ増加した。
利益面については、主に減収による影響で、売上総利益は13,408百万円(同80.9%)、営業利益は5,556百万円(同63.6%)、経常利益は8,927百万円(同93.2%)とそれぞれ減益となった。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益も6,130百万円(同91.8%)と減益となった。
2022年9月期(2021年10~2022年9月)の世界経済は、コロナ禍からの経済活動再開の動きが世界各地で見られる一方、長期化するサプライチェーンの混乱や、ロシア・ウクライナ情勢に起因するエネルギー価格の高騰、急激な金利上昇とそれに伴う為替相場の急変など、先行き不透明な状況が続いている。
一方、同社グループの属するストレッチブロー成形機業界においては、米国をはじめ各国での金利上昇と不安定な政治経済情勢に伴う設備投資意欲の減退などの懸念点はあるものの、世界各国での入国制限の緩和や大規模展示会の再開など営業活動を取り巻く状況は好転しており、事業活動は今後も堅調に推移すると思われる。
こうした環境下、同社グループは「人と社会に豊かさを提供する」「高い技術、サービスで恒久的な存続を追求する」との経営理念に基づき、中長期的な成長発展方針を継続し、事業規模の拡大を見据えた各種戦略的施策の展開に注力した。
■製品別売上状況
製品別の売上高状況については、ストレッチブロー成形機が15,601百万円(前期比75.8%)、付属機器が1,596百万円(同77.2%)と、前期の過去最高売上の反動により減収となった。一方、金型は9,212百万円(同93.1%)の小幅減収に留まり、また、部品その他は3,866百万円(同116.1%)の増収となり、容器設計からアフターサービスまでを一貫して提供する同社のビジネスモデルの底堅さを示している。
■セグメント(地域)別売上高状況
米州:生活必需品等の容器需要は北米を中心に底堅いものがあるものの、前期の高水準の受注環境の反動もあり、地域全体の売上高は10,454百万円(前期比88.1%)と減収となった。セグメント利益も売上規模の減少等により1,131百万円(同57.6%)と減益となった。
欧州:コロナ禍からの経済活動再開の動きが見られる一方、ロシア・ウクライナ情勢等の影響もあり、域内では顧客需要の弱含みが見られます。そのため、地域全体の売上高は5,356百万円(前期比72.2%)と減収となった。セグメント利益も売上規模の減少等により482百万円(同49.2%)と減益となった。
南・西アジア:インドを中心に中小型機の引き合いには底堅いものがある中、域内にはコロナ禍による影響が色濃く残る地域もあり、売上高は9,517百万円(前期比89.9%)と減収となった。セグメント利益もインドにおける継続的な設備投資の影響等により947百万円(同57.4%)と減益となった。
東アジア:日本国内での引き合いは比較的堅調に推移したが、その他地域の需要が弱含んだため、地域全体の売上高は4,948百万円(前期比82.2%)と減収となった。セグメント利益も売上規模の減少等により5,809百万円(同75.6%)と減益となった。
■2023年9月期連結業績の見通し
次期(2022年10月1日~2023年9月30日)においては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格の高騰、急激なインフレ進行による景気減速懸念など、先行きには不透明感が漂っている。ストレッチブロー成形機業界においては、設備投資意欲の減退懸念など短期的な不安要素はあるものの、大規模展示会の再開など営業活動を取り巻く状況は好転しており、また、生活必需品に根差した容器需要は中長期的には着実な成長が見込まれ、同社ビジネスは堅調に推移すると思われる。一方で、気候変動問題やESG経営などの社会課題への対応は業界のリーディングカンパニーとしての責務であると認識しており、中長期的な事業規模の拡大を図る。
2023年9月期連結業績は、売上高340億円(前期比12.3%増)、営業利益65億円(同17.0%増)、経常利益70億円(同21.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益50億円(同18.4%減)と予想している。
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