ヤマシンフィルタ、22年4〜9月期売上は4.5%減の91億円、通期予想2.2%増の192億円に上方修正

 ヤマシンフィルタが11月4日に発表した2023年3月期第2四半期累計(4〜9月)連結業績によると、売上高は91億23百万円(前年同期比4.5%減)となり、営業利益は5 億21百万円(同41.3%減)、経常利益は4億58百万円(同47.7%減)、親会社株主に帰属す る四半期純利益は2億71百万円(同17.4%減)となった。

 4~9月期における世界経済は、インフレ抑制を目的とした各国政策金利の大幅利上げによる急激な円安の進行や、中国でのゼロコロナ政策の継続による経済活動の停滞、 欧州での地政学リスクの長期化を背景としたエネルギー・原材料価格の高騰が継続しており、依然として先行き不 透明な状況が継続している。

 このような環境の中、主力事業である建機用フィルタ事業においては、北米市場では、金利上昇と材料不足の影響により住宅着工件数は減少傾向にあるものの、需要は底堅く推移した。日本、欧州、アジアといった主要地域においても、需要は前年度からは減少傾向にあるものの、建機の稼働時間と新車需要は堅調に推 移した。一方、中国市場におけるロックダウンの影響等により、4~9月期における売上高は減少した。また、利益面では、価格転嫁の実施により収益性は回復傾向にあるが、アルミや鋼 材等の主要原材料価格や海上輸送費の高止まりの継続や、急激な円安の影響により減益となった。

 同社グループは、引き続き、環境負荷低減に貢献するロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去する エアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載した高付加価値フィルタ製品の主 要得意先への提案を進めており、各建機メーカーの新機種への製品供給が順次開始されている。また、主要市場である北米市場においては、世界最大手建機メーカーに対する燃料用、トランスミッション 用フィルタ等の新規提案・採用が進展している。

 一方、減益要因となっている物流コストや原材料価格の高騰、 為替変動に対しては、価格転嫁を実行するとともに、原価改善プロジェクトPAC22の推進、サプライチェーンの見直しや生産地移管によるグローバル生産供給体制の構築により、原材料調達の安定化と物流コストの低減を図る。また、為替変動リスクのヘッジ手段として、為替予約含めた効果的な手段をタイムリーに実行することでリスクの最小化を図り、激変する外部環境変化への適応力を強化し、収益性の改善に努めていく。

 エアフィルタ事業においては、主要製品である、ビル空調用フィルタの交換需要は回復傾向にあり、売上高は増加した。利益面では、原材料価格の高騰に対して価格転嫁の実施や、生産効率の向上や経費削減効果によ り、増益となった。また、新たにロングライフであり低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名:NanoWHELP)や溶菌・酵素エアフィルタの、オフィスビルや病院、工場、鉄道車両等への採用は着実に進展しており、更なる収益の改善が見込まれる。今後、欧米市場でのエアフィルタ性能の規格(米国規格ASHRAE、欧州 規格EN等)を取得し、海外市場の開拓にも取り組んでいく。

 ヤマシンフィルタ2023年3月期第2四半期データ

連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2022年5月13日に公表(下記)した2023年3月期の通期連結業績予想を下記のとおり修正した。

 売上高192億円(前年同期比2.2%増)、営業利益13億80百万円(同2.6%増)、経常利益12億66百万円(同5.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益8億55百万円(ー)。修正理由は下記のとおり。

①建機用フィルタ事業

 前回通期の業績見通しを公表した2022年5月13日時点と比較し、主要得意先の生産活動や建機の稼働時間は、 中国を除く日本、米国、欧州、アジアといった主要市場においては、前年度と比較し減少傾向にあるものの、需要は引き続き高水準で推移しており、今後も堅調に推移することが見込まれる。一方で、欧州での地政学リス クを背景としたサプライチェーンの混乱に伴う物流コストや、鋼材やアルミ材といった主要原材料価格の高騰は、 足許では調整局面を見せるものの高止まりが継続しており、日米金利差拡大に伴う急激な円安の進行が拍車をか け、同社の業績に大きな影響を及ぼしている。

 同社はこのような環境変化に対応するため、原価低減活動の継続に加え、価格転嫁を実行しており、その効果により、売上高及び利益面で大幅な改善が見込まれ、前回公表値を上回る見通しであることから業績予想の修正を行う。

②エアフィルタ事業

 主要製品である、ビル空調用フィルタの交換需要は回復傾向にあるが、通期では前回公表値をわずかに下回る見通し。一方、利益面では、原材料価格の高騰に対して価格転嫁を実施したことや、生産効率の向上や経費削減効果により、増益が見込まれることから業績予想の修正を行う。

 なお、2023年3月期の想定為替レートについては、米ドル145円、ユーロ144円に変更した。

 ヤマシンフィルタの2023年3月期第2四半期決算短信

 第2四半期決算説明資料