・営業利益は55.3%増の2,116億円、一般建機・鉱山機械ともに北米、アジアを中心に需要が好調に推移
コマツが10月31日に発表した2023年3月期第2四半期(2022年4~9月)業績によると、連結売上高は1兆6,187億円(前年同期比25.3%増加)となった。建設機械・車両部門では、一般建機・鉱山機械ともに北米、アジアを中心に需要が好調に推移した。サプライチェーンの混乱による生産及び販売への影響はあったものの、クロスソーシングの活用などにより新車需要の拡大を着実に取り込んだ。また、部品・サービス売上げが増加したことに加え、円安の影響も大きく、売上高は前年同期を上回った。産業機械他部門では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業が、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移した。自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械については、中・大型プレスの売上げが減少したものの、売上高は前年同期を上回った。
利益については、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、建設機械・車両部門における各地域での販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は2,116億円(前年同期比55.3%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を2.5ポイント上回る13.1%、税引前四半期純利益は2,278億円(前年同期比66.8%増加)、株主に帰属する四半期純利益は1,626億円(前年同期比74.5%増加)となった。
コマツは、次の100年に向けて新たな価値創造を目指し、2022年4月より2025年3月期をゴールとする3 カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainablegrowth」をスタートした。①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めている。
■部門別の概況
[建設機械・車両]
建設機械・車両部門の売上高は1兆5,062億円(前年同期比27.1%増加)、セグメント利益は1,875億円(前年同期比58.1%増加)となった。
中期経営計画における成長戦略3本柱の1つである「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の導入を着実に進め、9月末時点の総稼働台数は累計574台となった。また、電動化の取り組みについては、他社との共同開発を推進し、10月に開催された国際的な建設機械見本市「bauma 2022」に向け、新たにフル電動ホイールローダーのコンセプトマシンの開発や、20トンクラスの電動油圧ショベルの早期市場導入に向けた取り組みを進めた。国内では有線式電動油圧ショベルとしては2機種目となる「PC138USE-11」を8月より発売し、9月に開催された「国際物流総合展2022」では、リチウムイオンバッテリー搭載の電動式フォークリフト「FE25G-2」「FE30G-2」を発表した。
「稼ぐ力の最大化」では、キーコンポーネントを自社開発・生産している強みを活かし、メンテナンス契約付き延長保証プログラムを拡大するなど、バリューチェーンビジネスの強化を図った。また、砕石現場中心に活躍している従来機「PC850-8E0」を12年ぶりにフルモデルチェンジし、各地域の排ガス規制に適合させ、大幅な作業量向上と燃費改善を実現した大型油圧ショベル「PC950-11」を7月より発売開始した。
「レジリエントな企業体質の構築」では、構造改革の一環として、コマツマイニング㈱の坑内掘り石炭向け鉱山機械事業の中国の生産拠点を一部売却し、不採算事業の見直しと生産能力の適正化に取り組んだ。
■地域別の概況
<日本> 日本では、公共工事及び民間工事向けに新車販売が増加したことから、売上高は前年同期を上回った。
<米州> 北米では、一般建機の需要は住宅建設、インフラ、レンタル向けが好調に推移し、エネルギー関連向けも増加した。加えて鉱山機械の販売が増加したことや円安の影響もあり、売上高は前年同期を大幅に上回った。
中南米では、ブラジルを中心に一般建機の需要が好調に推移し、鉱山機械の需要も堅調に推移した。円安の影響もあり売上高は前年同期を大幅に上回った。
<欧州・CIS> 欧州では、サプライチェーンの混乱やエネルギー価格高騰の影響などにより主要市場であるドイツ、英国、フランスを中心に需要は減少したものの、販売価格の改善などにより売上高は前年同期を上回った。
CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーンの混乱や金融・経済の不透明な状況の影響から、売上高は前年同期を下回った。
<中国> 中国では、経済活動の停滞に加え、第1四半期に実施された新型コロナウイルス感染再拡大対策としてのロックダウンなどの影響もあり需要が低迷したことから、売上高は前年同期を下回った。
<アジア・オセアニア> アジアでは、インドネシアにおける石炭向け鉱山機械の需要が好調であったことに加え、インドネシア、フィリピン、マレーシアなどにおける一般建機の需要が好調であったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。
オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が前年同期並みに堅調に推移した。新車販売が減少したものの、部品・サービス売上げは増加した。円安の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。
<中近東・アフリカ> 中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国での一般建機の需要が好調に推移したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。
アフリカでは、南部アフリカ地域において鉱山機械及び一般建機の需要が好調であったことから、売上高は前年同期を上回った。
[リテールファイナンス]
リテールファイナンス部門では、一般建機及び鉱山機械の販売増加や円安の影響により、新規取組高は増加した。前年同期に一部リース車を中古車として販売した影響があったものの、売上高は415億円(前年同期比12.2%増加)となった。セグメント利益は、円安や貸倒引当金の減少の影響などにより、149億円(前年同期比89.3%増加)となった。
[産業機械他]
産業機械他部門では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業が、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移した。自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械については、中・大型プレスの売上げが減少したものの、売上高は837億円(前年同期比2.5%増加)、セグメント利益は110億円(前年同期比27.7%増加)となった。
ギガフォトン㈱では、エキシマレーザー関連事業の需要増加に対応するため、生産効率向上や新生産棟建設など、生産能力2.5倍増強(2020年度比)に向けた取り組みを進めた。
■今期の見通し
建設機械・車両部門において、北米やアジアの需要は引き続き好調に推移する見通し。金利上昇による景気後退が懸念されるものの、サプライチェーンの混乱に起因した供給不足の改善が見込まれ、販売価格の改善も進んでいることから、当初予想を上回る業績が想定される。
また、為替が想定より円安に推移しているため、業績予想の前提となる為替レートの見直し(下期平均の為替レートを1米ドル=140円、1ユーロ=137円、1豪ドル=89円に変更)を行い、2022年4月28日に公表した通期連結業績予想につき、売上高及び利益を下記のとおり修正した。
売上高3兆4,600億円(前期比23.5%増)、営業利益4,400億円(同38.8%増)、税引前当期純利益4,320億円(同33.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,980億円(同32.5%増)。
通期平均の為替レートは、1米ドル=135.8円、1ユーロ=137.5円、1豪ドル=91.0円となる。(前回通期平均の為替レート見通し1米ドル=118.0円、1ユーロ=129.0円、1豪ドル=88.0円)
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