千代田化工建設、SPERA 水素を活用した水素サプライチェーン事業開発の Pre-FEED(概念設計)を実施

・シンガポールの Sembcorp Industries 社、三菱商事と覚書締結

 千代田化工建設は10 月 26 日 、Sembcorp Industries 社(以下、Sembcorp 社)および三菱商事と、千代田化工建設の水素貯蔵・ 輸送技術(SPERA 水素*1)を活用した、シンガポールにおける水素サプライチェーン事業化に向けた詳細検討に関わる覚書を締結したと発表した。

 2021 年 10 月に上記 3 社にて、シンガポール国内における商業規模でのクリーン水素サプライチェーン事業の調査及び実現に向けた戦略的提携に関する覚書を締結し、具体的に議論・検討を進めてきた。今回、さらに具体的な技術的・商務的検討を進めることに合意し、新たに覚書を締結したもの。

 現在までの初期の検討を踏まえて、上記 3 社は Pre-FEED*2 を含むクリーン水素サプライチェーン事業の 技術面・商務面の更なる検討、協議を行い、サプライチェーン事業の最終投資決定にむけ詳細検討を加速する。また、ジュロン島に位置する同事業は、Sembcorp社 のガス火力発電施設との相乗効果が期 待されている。同事業は、千代田化工建設独自の「SPERA 水素」技術を利用して、クリーン水素をオーストラリアや中東などの再生可能エネルギーの生産国からシンガポールに輸送するもの。

 同事業で2026 年に商業運転が開始された場合、年間約 6 万トンの生産量を誇るアジアで最大のクリー ン水素供給事業になる。これは、約 100 万メガワット時の再生可能エネルギーを生成することに相当し、シンガポールの既存の再生可能エネルギー生産量の 2 倍に当たる。

 千代田化工建設は、Sembcorp 社および三菱商事とともに同事業を進めることで、SPERA 水素を活用した競争力のある水素サプライチェーン事業構築を世界で初めて早期実装し、シンガポールのみならず世界各国のカー ボンニュートラルに向けた取り組みに寄与していく。

*1 SPERA 水素:液体有機水素キャリア(Liquid Organic Hydrogen Career: LOHC)としてのメチルシクロヘキサン(MCH) を指し、同社が独自に開発した脱水素(MCH から水素を取り出す)触媒を用いて水素を輸送・貯蔵する SPERA 水素技術の核になる物質。MCH は常温・常圧で液体であり、化学的にも安定しているため取り 扱いが容易で、既存の石油・石化製品の規格やインフラを活用することが可能。シンガポールでも MCH の安全性、既存インフラ活用で投資負担を抑えられることによるコスト競争力の優位性などが評価されて いる。

*2 Pre-FEED:Pre-Front End Engineering Design の略で、プラントの概念設計を通して技術的課題や概略費用などを 検討する。

 詳細は、ニュースリリース