IHI、オーストリアAVL社の燃料電池システム向けに電動ターボチャージャー(ETC)が搭載決定

・世界最大手の自動車パワートレインエンジニアリング会社

・ドイツ展示会でETC搭載のAVL社 HyTruck燃料電池システムが初出展

 IHIは10月19日、世界最大手の自動車パワートレインエンジニアリング(開発、シミュレーション、テスト)会社AVL List GmbH(本社:オーストリア共和国グラーツ市、以下AVL社)と、燃料電池システム向け電動ターボチャージャー(Electric Turbocharger、以下ETC)について協業を行っているが、このほど、同社のHyTruck(※)燃料電池システムに、IHI製ETCが正式に搭載されることが決定し、2023年、AVLが開発するデモトラック搭載予定のHyTruckシステムにも搭載されることが決定したと発表した。

 IHI製ETCを搭載したHyTruck燃料電池システムは、ドイツのブレーメンで開催される「Hydrogen Technology EXPO」において、初めて出展される。

 ETCは、FCV(Fuel Cell Vehicle:燃料電池自動車)等に搭載される燃料電池システムにおいて、重要な要素である酸素(圧縮空気)の供給を担っている。

 IHI製ETCは、空気軸受けを採用したオイルフリー構造となっており、燃料電池システムの課題であったスタックの被毒化を回避する。さらに、モーターとインバーターを一体化し、タービンアシストにより効率を向上させ、ETCの小型化・省電力化を実現し、FCシステムの小型化・高効率化に貢献する。

 IHI製ETC( Mサイズ:FCシステム出力100kW~150kW向け)は、すでに商用車および船舶用FCシステムメーカの複数社より採用に向け、評価が進められている。

 IHIでは、燃料電池システムへ次世代TCの採用に向けて開発を進めており、今後も、これら水素・燃料電池関連技術を通じて、地球に貢献していく。

(※)オーストリア政府によりサポートを受けているAVL社の開発プロジェクト名。電力、効率、信頼性、および寿命に関する商用車の要件を満たすための主な技術を含む、頑丈な燃料電池システムを開発、組み立て、調整、検証することを目的としている。本プロジェクトのコンソーシアムには,AVL、DB Schenker(ドイツ鉄道物流関連会社)、Hydrogen Europe(欧州水素・燃料電池協会)EI-JKU(Johannes Kepler大学 エネルギー研究所)、EMT、EVN AG(オーストリア電力会社)、FEN(オーストリア クリーンエネルギーシステム会社)、FPT(Fiat Powertrain Technologies)、HyCentA(Hydrogen Center Austria:水素研究所)、PBX、Rosenbauer(オーストリア 消防車メーカー)、ウィーン工科大学、VKM、および WIVA(Wasserstoffinitiative Vorzeigeregion Austria Power & Gas:水素、再生可能ガスにおける研究開発に資金を提供する協会)やウィーン工科大学、など、複数の有能なパートナーで構成されています。AVL は、プロジェクトをコーディネートするだけでなく、冷却、動作、パッケージング、燃料電池システムなど、燃料電池パワートレインの技術コンセプトの開発をリードしている。

<AVL社の概要>
社名:AVL LIST GmbH(エイヴィエル リスト)
本社:オーストリア共和国グラーツ市(シュタイアーマルク州)
代表:会長兼CEO ヘルムット・リスト(Helmut List) 氏

・燃料電池システム事業紹介
 AVL社は,約20年前から燃料電池関連事業を進めており、自動車から定置式向けまで、多くのプロジェクトの実績がある。現在では、燃料電池技術拠点を、オーストリア、カナダ、ハンガリーなど5拠点保有、約500名の技術者が燃料電池関連事業に携わっており、更なる事業拡大を図っている。

 ニュースリリース