・将来的にヘッドの生産能力を3倍程度まで増強可能に
セイコーエプソンのグループ会社である秋田エプソン(秋田県湯沢市)は10月4日、インクジェットプリンター用ヘッドの生産能力増強のため、総額約35億円の投資を行い、現在の秋田エプソン敷地内に新棟を建設すると発表した。新棟は2022年11月から建設を開始し、2023年12月竣工の予定。この投資により、将来的には秋田エプソンにおけるインクジェットプリンター用ヘッドの生産能力を現在の3倍程度にまで拡大できる見込み。
エプソンのプリンティングソリューションズ事業では、エプソン独創のインクジェット技術である「マイクロピエゾ技術」を活用し、オフィス、ホーム、商業、産業の幅広い分野の顧客に製品・サービスを提供している。オフィス・ホーム向けインクジェットプリンター市場においては、COVID-19以降の分散印刷化ニーズの高まり、北米など先進国での大容量インクタンク搭載プリンターの強い需要もあり、今後も中長期的に全世界でインクジェットプリンターの需要増加が継続する見通し。
建設する新棟では、インクジェットプリンターの基幹部品となるインクジェットヘッドの製造・組立を行う。今後の需要伸長を前提に、最先端「PrecisionCore(プレシジョンコア)マイクロTFPプリントヘッド」*搭載インクジェットプリンター供給増を念頭におき、製品ラインアップ強化や外販ヘッドの拡販対応も視野に入れ、将来的な生産スペースの確保も踏まえた建屋投資計画となっている。
*PrecisionCore:マイクロTFPプリントヘッドインクを吐出するノズルのひとつひとつを異なる制御で、数ピコリットル(1ピコリットル=1兆分の1リットル)という微細なインク滴を1秒間に5万発噴射できるインクジェットプリンターの画質と速度を決定する非常に重要な基幹部品。
また、新棟は既存工場棟に併設して建てられ、PrecisionCoreマイクロTFPプリントヘッド生産拠点の秋田エプソンへの集約による効率性も考慮した計画となっている。加えて、生産設備に関しては、人生産性やスペース生産性のさらなる向上も織り込んだかたちで工程整備を進めていく。
秋田エプソンは高い技術力を持つ生産拠点として、国内の研究開発拠点と密接に連携している。また基幹部品の生産を通じて得られる先端の生産技術・ノウハウをエプソンの海外生産拠点へも展開することで、グループの総合的なものづくり力の向上に貢献している。
<秋田エプソン新棟の概要>
所在地:秋田県湯沢市岩崎字壇ノ上1番地
事業内容:インクジェットプリンター用ヘッドの製造および組立
(大容量インクタンク搭載プリンターおよびビジネスインクジェットプリンター用)
建築面積:3,668.80m²
延床面積:10,683.77m²
従業員数:新規採用を若干名予定
<秋田エプソン 会社概要(2022年4月1日時点)>
会社名:秋田エプソン株式会社
所在地:秋田県湯沢市岩崎字壇ノ上1番地
代表取締役社長:遠藤 正敏
設立:1986年6月20日
資本金:8千万円(セイコーエプソン株式会社100%出資)
事業内容:プリンターヘッド部品の製造、ウエアラブル機器の加工および組立、超精密部品・金型具冶工具の製造加工
敷地面積:87,620m²
従業員数:987名
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