・大発工場(高雄市)のコージェネ(熱電併給)をガス焚き高効率化しCO2削減へ
・出力約3万kWで2023年冬頃に運転開始、電力および製造プロセス用蒸気を供給
・台湾のエネルギー政策転換を受け、地元自治体の石炭消費削減要請に応える
三菱重工業は10月5日、台湾の長春人造樹脂廠股份有限公司(Chang Chun Plastics Co., Ltd.:以下「長春人造樹脂」)向けに、H-25形ガスタービン1台を受注したと発表した。同社が高雄市で運営する大発工場で新たな高効率の天然ガス焚きコージェネレーション(熱電併給)設備を担う中核機器となるもの。出力は約3万kWで、2023年冬頃の運転開始を予定しており、同工場に電力および製造プロセス用蒸気を供給する。三菱重工が台湾向けにH-25形ガスタービンを納入するのは、今回が初めてとなる。
長春人造樹脂の大発工場は、高雄市中心街東方(大寮区)の工業団地にある。本件は既存の重油・石炭焚きボイラー設備を代替するもので、CO2排出量削減に向けた世界的潮流と台湾のエネルギー政策転換を受け、高雄市当局の石炭消費削減要請に応えて進めるプロジェクトの一環。
三菱重工は、H-25形ガスタービン本体・補機の納入、機器の据え付け、試運転等のサポートに向けた技術者派遣を行う。
長春人造樹脂は、台湾の有力石油化学コングロマリットである長春集団(Chang Chun Group)の中核会社。長春集団は台北市に本社を構え、台湾をはじめ世界各地に多数のグループ会社や工場を有している企業。
三菱重工は、1984年から長春集団の工場の発電・コージェネ設備に、蒸気タービン9台、ボイラー5缶等の主要機器を納入している。また、納入後の機器に対するアフターサービスや各種ソリューションの提供を継続して行っており、今回の受注は、こうした実績に裏打ちされた信頼と長期にわたる両社の良好な関係が高く評価されたことによるもの。長春集団は今後もガスタービンの導入を計画しており、三菱重工は本件を含め計4台のH-25形ガスタービン納入に関する大枠合意を結んでいる。
H-25形ガスタービンは、長時間の運転実績により高い信頼性が確認されたヘビーデューティ型ガスタービン(注)で、1987年の初号機受注以来、国内外で190台を超える豊富な実績と運用を誇っている。ガスを直接ボイラーで燃焼させる従来の熱電併給設備に比べ、プラントの高効率化とCO2の削減に寄与し、分散型電源分野における石炭からガスへの転換や将来的な水素燃料への移行などを見据えた、エナジートランジションの強力な切り札といえる。
三菱重工は今後も、国内外の産業用自家発電・コージェネ等の分散型電源市場で一層積極的な活動を展開し、各国・地域の産業基盤強化およびエネルギー環境負荷軽減に貢献していく。
(注)一定の出力を維持して長時間連続運転することを前提として設計されたガスタービンで、信頼性に優れ、手入れしやすく低い保守頻度で運転できることが特長。
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