オカムラ、自律移動ロボット「ORV(オーアールブイ)」を発売

・物流施設でカゴ車の工程間搬送や整列配置の自動化を実現

 ㈱オカムラ(横浜市)は9月8日、物流施設においてカゴ車を使用した工程間搬送や整列配置の自動化を実現する自律移動ロボット「ORV(オーアールブイ):Okamura Robot Vehicle」を2022年9月より発売すると発表した。

 「ORV」は、センサーで周囲の環境を把握し周辺地図の作成と自己位置推定を行うSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を活用し、AI(人工知能)を搭載した自律移動ロボット。カゴ車を自動認識して取りに行き、カゴ車の片側をつかみ上げて目的地まで障害物を避けながら搬送する。けん引ではないためカゴ車と一体になりその場で旋回するなど小回りが利き、バック走行が可能なため狭い空間でも隙間なくカゴ車を整列配置させることができる。物流施設において、モノを単純に動かす・運ぶという作業の自動化を実現する。

■物流施設における背景と課題
 物流現場では、多頻度小口化など物流サービスの多様化と労働人口の減少により倉庫内作業の自動化、省力化のニーズが高まっている。

 モノを単純に動かす・運ぶという作業の自動化については、従来の無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)で可能となっているが、床面に軌道となる経路テープやマーキングが必要なため走行軌道の変更に手間が掛かる、軌道上の障害物を避けて走行できないといった課題があった。特に、カゴ車の移動、搬送は、かなりの重量物であることに加え、数量、回数が多いことから、多くの物流現場で自動化が課題となっていた。

■「ORV」の機能と開発背景
 「ORV」は、SLAM技術を活用し、センサーで周囲の環境を把握して周辺地図の作成と自己位置推定を行い、目的地まで最も効率的なルートを導き出す。走行ルート設定の自由度が高く、床面工事や経路テープやマーキング、ルート設定のためのランドマークなどが必要ないため、レイアウト変更や動作エリアの拡張に柔軟に対応できる。AI(人工知能)によりカゴ車を自動認識して取りに行き、マーキングや人の手による位置合わせなしで、カゴ車の片側を自動でつかみ上げる。カゴ車の片側をつかみ上げる「片持ち方式」で移動するため、その場旋回など小回りが利き、カゴ車と一体となったバック走行も可能。走行中は、障害物を検知して回避する。狭い通路では回避ではなく一時停止をするなどルートに応じた動作設定ができる。目的地に着くと、カゴ車と一体になったバック走行で整列配置を行うことができ、トラックバース前の出荷待機や垂直搬送機などへの搬送が可能。自動充電機能を備えており、充電が必要になると設置している給電装置に自動で向かい、充電する。また、IoT遠隔監視システムにより、稼働データをクラウド上にアップロードしているため、現場で不具合が起きた際にはログデータを基に離れた場所からでも調査をすることが可能。

 物流施設ではさまざまな自動化・省力化が進められており、使用頻度が高く人の手による運用が前提のカゴ車搬送は多くの物流現場で自動化が求められている。

 「ORV」は、プロトタイプを「国際物流総合展2018」(2018年9月)に初出展し、「国際物流総合展2020」(2020年2月)、「国際物流総合展2021 in 愛知」(2021年3月)にも出展。実際の物流倉庫や工場での実証実験などを通して改良や仕様変更を行い、販売を開始する。

 オカムラは、自動倉庫や搬送・仕分け機器などの物流システム機器の開発・製造、導入・運用支援、アフターサービスなど物流システムにおける一貫したソリューションを提供している。物流現場のさらなる自動化・省人化を実現し、生産性の向上に貢献する。

国際物流総合展2022 Logis-Tech Tokyo 2022」展示・デモンストレーション
2022年9月13日~16日に東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2022 Logis-Tech Tokyo 2022」オカムラブースにて、実機を使ったデモンストレーションを実施する。

 詳細は、ニュースリリース