・三菱パワーアジア・パシフィック、ジュロン・エンジニアリング社とのコンソーシアム
・低・脱炭素燃料による同地で最もクリーンな大規模発電プラントをジュロン島で実現
・三菱重工はアンモニア専焼GTCC発電所の開発を検討するMOUも締結
三菱重工グループの三菱パワーアジア・パシフィック(Mitsubishi Power Asia Pacific Pte. Ltd.)は8月31日、シンガポールのエンジニアリング会社ジュロン・エンジニアリング社(Jurong Engineering Limited)とのコンソーシアムにより、ケッペル社(Keppel Infrastructure Holdings Limited)との間で、シンガポール南西部のジュロン島サクラ(Sakra)地区に60万kWの最新鋭ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所を建設するEPC(設計・調達・建設)契約を締結したと発表した。この「Keppel Sakra Cogen発電所」は、シンガポールで初の水素による発電を視野に入れた大規模発電所となる。
同発電所は、30%の水素を含む燃料で運転できるように設計され、水素での専焼発電にも対応できる機能を備える。2026年上期に予定している完成後には、シンガポールで最も先進的で高効率の発電所となり、ジュロン島のエネルギー・化学産業にプロセス用蒸気も供給する。また、三菱パワーアジア・パシフィックは、ガスタービンの長期保守契約(LTSA)をケッペル社と締結した。
今回の契約に加えて、三菱重工は、ケッペル社の完全子会社であるKeppel New Energy Pte Ltdとの間で、シンガポールでアンモニア専焼GTCC発電所開発の事業化調査(Feasibility Study:FS)を実施する覚書(MOU)を締結した。これらのMOU締結は、ケッペル社が持続可能性を中核に据えたケッペル社グループの“Vision 2030”にも沿うもので、アンモニア燃料による発電が加わることで、シンガポールにおいてより強靭で持続可能なエネルギーの供給が可能になる。
ケッペル社CEOのCindy Lim氏は次のように述べている。「本発電所は、シンガポールで初の水素発電に対応した最先端の高効率GTCC発電設備となり、当社をシンガポール電力部門の脱炭素化の取り組みの最前線に位置づけるものになります。また、当社のエネルギーポートフォリオは現在の130万kWから190万kWに増え、経済発展に伴い信頼性の高いエネルギーの需要が国内で高まり続ける中で、当社のより大きな市場シェアの獲得に貢献します」。
契約締結を受け、三菱パワーアジア・パシフィックCEOの大野 修氏は次のように述べている。「三菱重工は、本発電所に水素対応のJAC形ガスタービンを供給することを心待ちにしています。世界最高水準の発電効率を誇るとともに、世界各国での豊富な稼働実績、高砂製作所の実証設備複合サイクル発電所(第二T地点)での信頼性検証、半世紀以上にわたる水素リッチ燃料発電の豊富な経験に裏打ちされた、確かな信頼性を兼ね備えたプラントになると確信しています。革新的な低・脱炭素燃料である水素を発電に利用することで、CO2排出削減が可能となります。エネルギー分野で先見性のあるケッペル社との提携を通じて、我々のネットゼロ構想とも合致した、シンガポールの持続可能なエネルギーの未来を構築できることを光栄に思います」。
ジュロン・エンジニアリング社でCEOを務める渡邊 康一氏は次のように述べている。「将来の脱炭素発電の実現に向けた共同の取り組みの一環として、本発電所の建設に関与できることを嬉しく思います。当社は、今後も革新的なソリューションを提供することでエンジニアリング力の多様化・強化を図り、よりグリーンな未来に貢献していきます」。
三菱重工グループは、カーボンニュートラルへの取り組みを宣言し、「MISSION NET ZERO」のもと、2040年までにCO2排出量をネットゼロにする目標を掲げている。
三菱重工業は、グループを挙げてすべての事業領域で培った革新的な技術・サービスを活用し、既存インフラの脱炭素化など顧客のニーズに応え、世界のCO2排出量削減をサポートしていく。
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