東京計器、22年4~6月期売上11.2%増の89億円、通期予想9.4%増の454億円は変更せず

 東京計器が8月12日に発表した2023年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は、主に防衛・通信機器事業が昨年までの案件の谷間から回復に転じたことで、前年同期比11.2%増の89億2,400万円となった。一方で、原材料価格高騰及び製品ミックスの変化の影響により原価率が上昇し、営業損失は5億3,300万円(前年同期△5億1,700万円)となるなど、損益面は前期並みの水準となった。

 東京計器2023年3月期第1四半期データ

 4~6月期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進み、持ち直しがみられた。

 一方で、半導体をはじめとする部品供給不足の長期化や原油・原材料価格高騰などサプライチェーンの混乱に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、各国のインフレ高進と政策金利引き上げ、中国での「ゼロコロナ政策」の長期化が、さらに不確実性を招き、先行きは不透明感が増している。

 我が国経済においても、新たな変異株による感染拡大や、長期化するサプライチェーンの混乱、急速な円安の進行など、依然として先行きが不透明な状況が継続した。

■セグメント別業績

〔船舶港湾機器事業〕

 売上高20億7,800万円(前年同期比2.9%増)、セグメント利益800万円(同46.7%減)。

 内航船市場の新造船向け機器販売や海外市場の欧米向けOEM製品の販売、保守サービスが堅調に推移した。為替が円安に推移したものの、原材料価格の高騰による原価率の上昇により、前年同期比で減益となった。期間中、在来船市場向け製品として、電子海図情報表示装置(ECDIS)の後継機EC-9000シリーズを新たに開発し、市場投入した。

〔油空圧機器事業〕

 売上高28億1,900万円(同0.6%減)、セグメント利益△8,800万円(同△1,900万円)。

 工作機械市場において、半導体製造装置や再生可能エネルギー関連設備向けの販売が堅調に推移するとともに、建設機械市場でも、国内の公共投資の継続や、民間の設備投資の回復により販売が増加した。一方で、プラスチック加工機械市場における、半導体不足を主因とした自動車メーカーの減産の影響、及び海外市場における、上海ロックダウンによる需要の減少により、販売が減少した。この結果、全体としては、前年同期比で僅かながら減収となった。原材料価格の高騰による原価率の上昇により、当期においても営業損失となった。

 期間中、水素など可燃性ガスの周囲での使用に対応した耐圧防爆電磁切換弁DG4VXシリーズと、複数のカメラ画像を合成処理して死角のない画像とすることで車両の接触事故を防ぐ俯瞰図システムRVP-1000を市場投入した。

〔流体機器事業〕

 売上高5億8,300万円(同2.3%減)、セグメント利益△1億4,200万円(同△1億3,000万円)。

 官需市場の上水道及び農業用水向けと、民需市場向け超音波流量計の販売が減少した。消火設備市場は、危険物施設向けに加え、「ガス系消火設備の容器弁の安全性に係る点検」に基づく部品販売及び交換工事が好調に推移したが、官需市場及び民需市場向け超音波流量計の販売の減少を補えず、売上高は前年同期比で僅かながら減収となった。売上高の減少により、当期においても営業損失となった。なお、事業の特性上、販売が第4四半期に集中するため、第1四半期は営業損失となる傾向にある。

〔防衛・通信機器事業〕

 売上高29億7,600万円(同40.0%増)、セグメント利益△1億7,500万円(同△2億6,600万円)

 防衛事業において、昨年までの案件の谷間から回復に転じ、哨戒ヘリコプター用逆探装置の販売が増加したことに加え、通信機器事業において、農機用自動操舵補助装置やトンネル掘削マシン用FOGコンパスの販売が増加した。この結果、売上高は前年同期比で大幅な増収となった。売上高の大幅な増加や販管費の減少などにより、営業損失は前年同期比で減少した。なお、防衛事業は事業の特性上、販売が第4四半期に集中するため、第1四半期は営業損失となる傾向にある。

〔その他の事業〕

 売上高4億6,900万円(同4.2%増)、セグメント利益△1億1,100万円(同1億100万円)

 同事業に含まれる検査機器事業及び鉄道機器事業は、前年同期並みで推移した。鉄道機器事業の製品ミックスが変化したことによる原価率の上昇により、当期においても営業損失となった。なお、検査機器事業及び鉄道機器事業は事業の特性上、販売が第4四半期に集中するため、第1四半期は営業損失となる傾向にある。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2023年3月期の連結業績予想については、防衛・通信機器事業が案件の谷間から回復することや、為替が想定より円安に進行することが見込まれるが、一方で、半導体をはじめとする部品供給不足や原油・原材料価格高騰による影響など、依然として先行きが不透明な状況が継続されると思われるため、2022年5月13日に公表(下記)した通期連結業績予想は据え置いている。

 売上高454億円(前期比9.4%増)、営業利益18億5,000万円(同13.2%増)、経常利益21億円(同9.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益21億円(同3.8%増)。

 東京計器の2023年3月期第1四半期決算短信

 第1四半期決算説明資料