酒井重工業 が8月10日に発表した2023年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は、サプライチェーン問題に伴う生産・販売活動への影響があったものの、海外販売の拡大により前年同期比12.7%増の68億6千万円、営業利益は、海外事業を中心に収益構造改革が進み、同121.7%増の4億4千万円、経常利益は同140.8%増の5億1千万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同160.9%増の4億円となった。
4~6月期における取り囲む事業環境は、米中対立激化やロシアのウクライナ侵攻により国際安全保障リスクが高まる中、エネルギー・部材価格の構造的価格上昇やサプライチェーンの混乱が続くと共に、欧米中央銀行の利上げ政策に伴う国際金融市場の潮流変化や、中国のゼロコロナ政策に伴う主要都市ロックダウンなど、激動する世界情勢の下で底堅い回復基調を維持した。このような情勢の下で酒井重工業では、価格決定力と製品供給力の強化、ESGとDXによる持続可能な経営体制づくり、海外事業と次世代事業による中長期成長戦略を進めた。
■連結地域区分別売上高状況
国内向け売上高は、国土強靭化加速化対策を背景として堅調な販売が続き、前年同期比1.7%増の28億1千万円となった。海外向け売上高は、北米及び東南アジア市場で需要回復が進み、前年同期比22.0%増の40億5千万円となった。
北米向け売上高は、好調な建設投資を背景として力強い需要回復が進み、同25.6%増の17億2千万円。アジア向け売上高は、インドネシア市場が需要回復に転じると共にベトナム市場が好調に推移し、同22.6%増の21億8千万円。その他市場向け売上高は、ロシアCIS向け販売をゼロとする一方で、大洋州市場が堅調に推移し、同15.2%減の1億4千万円となった。
■セグメント業績
日本:日本では、国内販売が底堅く推移すると共に、製品輸出と海外工場向け部品輸出が増加し、総売上高は前年同期比11.9%増の53億5千万円、営業利益は原価上昇に対する販売価格反映が遅れ、同9.2%減の9千万円に留まった。
海外:米国では、力強い需要回復の中で販売が好調に推移し、総売上高は同24.7%増の17億3千万円、営業利益は販売価格改定と輸送コスト低減により収益構造が改善し、同151.4%増の2億2千万円。インドネシアでは、インドネシア国内販売が回復に転じ、総売上高は同33.8%増の13億1千万円、営業利益も同96.1%増の9千万円。中国では、工場が所在する上海市のロックダウンにより事業活動の停滞を余儀なくされたが、中国国内販売が大幅に減少する一方で、グループ企業向け製品・部品輸出を拡大した結果、総売上高は同27.2%減の1億8千万円ながら、営業利益は前年同期比1千万円改善の8百万円の損失に留めた。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
今後国内では、総額15兆円の防災・減災・国土強靭化の為の5ヵ年加速化対策、米国では総額1兆2千億ドルのインフラ投資計画、ASEANや新興諸国でもインフラ投資拡大による景気刺激策が打ち出されていることから、世界の建設機械需要は、激動する世界情勢の中で一進一退を繰り返しつつも底堅い回復基調を維持するものと期待される。
一方で、益々加速する脱炭素政策や世界経済のブロック化の影響として、エネルギー・部材価格の更なる上昇や、グローバルサプライチェーンの再編圧力が強まるものと予想される。
このような情勢の下で酒井重工業では、販売価格改定の浸透とコスト低減による収益構造改革、サプライチェーン強靭化と国内生産能力拡大による製品供給力強化、ESGとDXによる持続可能な経営体制づくり、事業成長と資本政策を2本柱とした経営への転換を進めていく。
また引き続き、需要変化対応力の強化、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域拡大、新技術活用による次世代事業開発、活力ある企業文化づくりを進めることにより、中長期的な事業成長と企業価値の向上を目指していく。
2023年3月期(2022年度)の連結業績は、売上高293億円(前期比10.2%増)、営業利益15億円(同8.4%増)、経常利益14億5 千万円(同3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9億5 千万円(33.4%減)と、当初予想を据え置いている。
第1四半期決算説明資料
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