㈱タダノが8月10日に発表した2022年12月期第1四半期連結業績によると、売上高は776億5千8百万円となった。うち日本向け売上高は、調達環境の悪化による生産の遅れ等で、売上は低調となり159億9千万円となった。海外向け売上高は、建設用クレーンの需要が順調に推移した結果、616億6千7百万円となり、海外売上高比率は79.4%となった。営業利益は、為替の影響に加え、経費圧縮に努めた結果、18億2千9百万円、経常利益は16億5千3百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、固定資産売却益等を計上した結果、18億8千4百万円となった。
タダノグループは、今期より決算期を3月31日から12月31日に変更し、決算期を統一した。従って、連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、第1四半期については、タダノ及び3月決算だった連結対象子会社は3か月間(4~6月)、12月決算の連結対象子会社は6か月間(1~6月)を連結対象期間とした変則決算となっている。このため、対前年同四半期増減率を記載していない。
4~6月期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進んだことにより、持ち直しの動きが見られた。海外においても、経済活動の再開が段階的に進み、景気は緩やかに回復した。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中国のロックダウン、急激な円安進行などにより、原材料価格の高騰や調達環境の悪化が更に進み、状況はより厳しさを増している。足許では世界的な金融引締めによる景気後退や新型コロナウイルスの感染急拡大の懸念もあり、先行きの不透明感が強まっている。
タダノの関連業界は、日本では、大型公共工事を中心に比較的順調な稼働を背景として、一定の需要が継続しているが、本格的な需要回復には至らなかった。海外では、緩やかな景気回復を背景に、全ての地域で需要は増加傾向となったが、調達環境の悪化による生産遅れなどが、需要拡大の重石となる状況が続いている。
2018年1月19日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告について、2021年1月、米国当局(環境保護庁・司法省)からタダノグループによる違反とそれに伴う民事制裁金(Civil Penalty)4,050万USドル及びその他の合意条件について提案を受け、2021年3月期に4,050万USドルを引当計上した。当局との協議を継続する中、追加費用が発生する見込みが高くなったため、2022年3月期に1,176万USドルを追加で引当計上した。なお、当局との協議は継続中であり、最終的に確定した段階において、改めて公表する。
■セグメント別の状況(セグメント別とは、タダノ及び連結対象子会社の所在地別の売上高・営業利益であり、仕向地別売上高とは異なる)
1)日本(4月~6月)
建設用クレーン・高所作業車の需要はほぼ横ばいで推移、車両搭載型クレーンはトラック登録台数の減少もあり需要が減少した。また、調達環境の悪化による生産の遅れ等の影響もあり、売上高は279億8千8百万円、営業利益は19億3千1百万円となった。
2)欧州(1月~6月)
建設用クレーンの需要は増加したが、調達環境の悪化による生産の遅れ等の影響もあり、売上高は320億9千9百万円、営業利益は45億2千9百万円の損失となった。
3)米州(1月~6月)
建設用クレーンの需要が順調に回復する中、売上は需要の伸びを上回る増加となり、売上高は286億円、営業利益は22億1千1百万円となった。
4)その他(1月~6月)
全ての地域で建設用クレーンの需要が拡大する中、拡販に注力した結果、売上高は113億4千6百万円、営業利益は8億5千8百万円となった。
■主要品目別の状況(日本向け売上:4~6月、海外向け売上:主に1~6月)
1)建設用クレーン
需要は、日本では横ばい、海外では全ての地域で増加した。一方で調達環境の悪化による生産遅れ等の影響もあり、日本向け売上高は、52億6千7百万円、海外向け売上高は、478億4千1百万円となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は531億8百万円となった。
2)車両搭載型クレーン
日本向け売上高は、トラック登録台数の減少が車両搭載型クレーンの販売にも影響し、31億6千4百万円となった。
海外向け売上高は、7億7千9百万円となった。
この結果、車両搭載型クレーンの売上高は39億4千4百万円となった。
3)高所作業車
高所作業車は、需要が横ばいで推移する中、拡販に注力した結果、売上高は31億4千3百万円となった。
4)その他
部品、修理、中古車等のその他の売上高は、174億6千1百万円となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2022年4月28日発表(下記)の2022年12月期の連結業績予想は変更していない。
売上高2,050億円、営業利益45億円、経常利益38億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円。
なお、7月以降の前提レートは130円/ドル、140円/ユーロとしている。
コメントを投稿するにはログインしてください。