ヤマシンフィルタ、22年4〜6月期売上は11.0%減の41億69百万円、通期予想178億円は変更せず

 ヤマシンフィルタが8月3日に発表した2023年3月期第1四半期(4〜6月)連結業績によると、売上高は41億69百万円(前年同期比11.0%減)となり、営業利益は 94百万円(同72.4%減)、経常利益は57百万円(同82.8%減)、親会社株主に帰属する四半 期純利益は12百万円(同94.1%減)となった。

 4〜6月期における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大による中国でのロックダウンや、北米市場での住宅着工件数のスローダウン、ロシア、ウクライナ情勢の長期化を背景としたエネルギー・原材料価格や物流コストの高騰、インフレ圧力に伴う急激な円安が進行し、依然とし て先行き不透明な状況が継続している。

 ヤマシンフィルタ2023年3月期第1四半期データ


 このような環境の中、同社グループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、日本、北米、欧州、アジ アといった主要地域では、建機の稼働時間と新車需要は堅調に推移した一方で、中国市場におけるロックダウンの 影響により、第1四半期における売上高は減少した。また、利益面では、世界的な 原材料不足や物流停滞については改善傾向にあるものの、解消には至っておらず、コンテナ船の需要急増に伴う海 上輸送費の高騰が継続し、その代替輸送手段としての航空費用の発生及びアルミや鋼材等の主要原材料価格の高騰 の影響により減益となった。

 同社グループは、引き続き、環境負荷低減に貢献するロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去する エアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載したフィルタ製品の主要得意先へ の提案を進めており、各建機メーカの新機種への製品供給が開始されている。

 また、主要市場である北米市場においては、世界最大手建機メーカに対する同社の燃料用、トランスミッション 用フィルタ等の新規提案・採用が進展し、中国市場においては、先行き不透明な見通しの中、今年度後半に予定される排ガス規制の導入を背景に、中国系建機メーカへのリターンフィルタ製品を主軸とした同社製品の新規採用実 績は増加している。

 このように、本業である建機用フィルタ事業においては、同社の新製品の販売拡大やシェ ア拡大による事業の安定化と更なる成長が見込まれる。

 一方、減益要因となっている物流コストや原材料価格の 高騰、為替変動に対しては、サプライチェーンの見直しや生産地移管による安定した生産供給体制の構築、決済通 貨の見直しによる為替マリーの強化を図るとともに、原材料価格や物流コストの高騰については、随時価格転嫁を 実施することで環境変化への適応力を強化し、収益性の改善に努めていく。

 エアフィルタ事業においては、経済活動の回復に伴いビル空調用フィルタ需要は回復傾向にあり、売上高は前年並みに推移したが、利益面では生産効率の向上や経費削減効果により、増益となった。また、新たにロングライフであり低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名:NanoWHELP)や溶菌・酵素エアフィル タの、オフィスビルや病院、工場、鉄道車両等への採用は着実に進展しており、更なる収益の改善が見込まれる。今後、欧米市場でのエアフィルタ性能の規格(米国規格ASHRAE、欧州規格EN等)を取得し、海外市場の開拓に も取り組んでいく。

連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2022年5月13日に公表(下記)した2023年3月期の通期連結業績予想に変更はない。

 売上高178億円(前年同期比5.4%減)、営業利益7億円(同47.9%減)、経常利益6億50百万円(同50.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億58百万円(同872.5%増)。

 原材料価格高騰やサプライチェーン混乱に伴う物流コストの高騰については、当面継続する可能性も考えられるが、随時価格転嫁を実施する方針としている。

 ヤマシンフィルタの2023年3月期第1四半期決算短信

 第1四半期決算説明資料