コマツ、22年4~6月期売上17.8%増の7,638億円、通期予想は7.1%増の3兆円は変更せず

 コマツが7月29日に発表した2023年3月期の第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は7,638億円(前年同期比17.8%増加)となった。建設機械・車両部門では、一般建機・鉱山機械ともに北米、アジアを中心に需要が好調に推移した。サプライチェーンの混乱による生産及び販売への影響が継続しているものの、クロスソーシングの活用などにより新車需要の拡大を着実に取り込んだ。また資源価格の上昇により鉱山機械の需要が好調に推移したことに加え、円安の影響もあり売上高は前年同期を上回った。産業機械他部門では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業においては、世界的な半導体需要の増加により、売上げが好調に推移したものの、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、中・大型プレスの売上げが減少したことなどから、売上高は前年同期を下回った。

 利益については、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、建設機械・車両部門における各地域での販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は936億円(前年同期比51.5%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を2.7ポイント上回る12.2%、税引前四半期純利益は1,125億円(前年同期比83.0%増加)、当社株主に帰属する四半期純利益は805億円(前年同期比96.7%増加)となった。

 コマツは、次の100年に向けて新たな価値創造を目指し、2022年4月より2025年3月期をゴールとする3 カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainable growth」をスタートした。①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築 を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めており、今年度は中期経営計画の初年度となる。

 コマツ2023年3月期第1四半期データ

■部門別の概況

[建設機械・車両]

 建設機械・車両部門の売上高は7,153億円(前年同期比20.4%増加)、セグメント利益は833億円(前年同期比55.3%増加)となった。

 中期経営計画における成長戦略3本柱の1つである「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の導入を推進し、6月末時点の総稼働台数は累計541台となった。2022年6月には英資源大手が保有するチリの銅鉱山でAHSを初めて導入した。また、2022年6月に米国のエンジンメーカーと水素燃料電池ソリューションを含め、鉱山向けダンプトラックのゼロエミッション動力源の技術開発について市場導入の実現に向けて協議を開始した。

 「稼ぐ力の最大化」については、林業機械事業において、2014年より植林機に関して協業していたスウェーデンの林業機械アタッチメントメーカーの買収を決定した。また、同社と共同開発した自動運転の植林機の導入をブラジルにおいて推進した。坑内掘りハードロック事業においては、坑内掘り鉱山向けの通信デバイスと坑内測位による最適化プラットフォームのプロバイダーである豪州の会社の買収を決定した。また、2022年4月より国内において小型ブルドーザー「D27A/P/PL-10」を発売開始した。一般土木向けにコマツが独自にサイズ展開している機種で、作業量を大幅に向上させるなどモデルチェンジした。

 「レジリエントな企業体質の構築」については、コマツマイニング㈱の新本社工場が竣工し、生産設備の移管を進め順次量産を開始した。従来点在していた本社や生産工場を集約することで効率化、生産性向上を推進した。

■地域別の概況

<日本>

 日本では、公共工事及び民間工事向けに新車販売が増加したことから、売上高は前年同期を上回った。

<米州>

 北米では、一般建機の需要は住宅建設、インフラ、レンタル向けが好調に推移し、エネルギー関連向けも回復基調となった。加えて鉱山機械の販売が増加したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 中南米では、一般建機及び鉱山機械の需要が好調に推移した。チリの銅鉱山向け鉱山機械の販売が増加したことや、ブラジルを中心に一般建機の需要が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期を上回った。

<欧州・CIS>

 欧州では、サプライチェーンの混乱などにより主要市場であるドイツ、英国、フランスを中心に需要は減少したものの、販売価格の改善などにより売上高は前年同期を上回った。

 CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーンの混乱や金融・経済の不透明な状況の影響から、ロシア現地へ出荷済みもしくは現地の在庫のみ販売したことにより、売上高は前年同期を下回った。

<中国>

 中国では、経済活動の停滞に加え、新型コロナウイルス感染再拡大によるロックダウンなどの影響もあり需要が低迷したことから、売上高は前年同期を大幅に下回った。

<アジア・オセアニア>

 アジアでは、インドネシアにおける石炭向け鉱山機械の需要が好調であったことに加え、インドネシア、マレーシアなどにおける一般建機の需要が好調であったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が前年同期並みに堅調に推移した。部品・サービス売上げは増加したものの、新車販売が減少したことから売上高は前年同期を下回った。

<中近東・アフリカ>

 中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国での一般建機の需要が好調に推移したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 アフリカでは、鉱山機械及び一般建機の需要が好調だったことから、売上高は前年同期を上回った。

[リテールファイナンス]

 リテールファイナンス部門では、一般建機及び鉱山機械の販売増加に伴い、新規取組高が増加したものの、前年同期に一部リース車を中古車として販売した影響もあり、売上高は199億円(前年同期比2.5%減少)となった。セグメント利益は、為替の影響に加え、貸倒引当金の減少などにより、77億円(前年同期比139.9%増加)となった。

[産業機械他]

 産業機械他部門では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業においては、世界的な半導体需要の増加により、売上げが好調に推移したものの、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、中・大型プレスの売上げが減少したことなどから、売上高は345億円(前年同期比15.4%減少)、セグメント利益は35億円(前年同期比16.1%減少)となった。

 コマツNTC㈱では、国内電池メーカーより車載電池製造装置の大型案件を初受注し、当該事業の強化を図った。また、ギガフォトン㈱では、半導体産業向けのエキシマレーザー関連事業の需要増加に対応するため、新生産棟建設に向けた取り組みを進めた。

■連結業績予想に関する定性的情報

 2022年4月28日に公表した2023年3月期の連結業績予想(下記)は変更していない。

 売上高3兆円(前期比7.1%増)、営業利益3,460億円(同9.1%増)、税引前当期純利益3,335億円(同2.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,260億円(同0.5%増)。

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