日立建機、22年4~6月期売上は17.3%増の2,675億円、通期予想は1.5%増の1兆円超に上方修正

 日立建機が7月28日に発表した2023年3月期第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上収益は、米州事業も好調にスタートし、マイニングを中心とした新車販売と部品サービスを中心としたバリューチェーン事業も増加、為替の円安影響等も全体に加わって、2,675億3千9百万円(対前年同期増減率17.3%)となった。利益項目について、調整後営業利益は、鋼材価格を中心としたコスト増加の影響があったが、売上収益の増加や為替影響等によって、205億9千9百万円(同74.0%)と大幅増益となった。親会社株主に帰属する当期利益は、185億6千8百万円(同160.5%)となった。

 日立建機2023年3月期第1四半期データ

■経営成績に関する説明

 日立建機グループは、2023年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「Realizing Tomorrow’s Opportunities 2022 明日の好機をつかみとれ」において、①バリューチェーン事業の強化、②お客さまとのあらゆる接点で深化したソリューションを提供、③変化に強い企業体質の形成、そして、新たに④「北中南米全域で戦略を実現」を加えた4つの経営戦略で、現在、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでいる。

 4~6月期における油圧ショベル需要は、同社の予想通り、前年同期比で中国・ロシアCISで大幅に減少、日本・西欧においても減少、一部地域での増加もみられたがその他の地域ではおおむね横ばいで推移し、全体では前年同期を下回った。

 マイニング需要は、昨年度から続く高水準の資源価格を追い風とした顧客の投資意欲が継続し、鉱山再稼働に伴う休車機のオーバーホール需要も堅調に推移した。

 なお、同社のロシアにおける事業については、当面の間、ロシアCISの地域統括会社である日立建機ユーラシアLLC(製造・販売子会社)の生産は停止中で、ロシアへの輸出に関しても、各国の法令に従い適切に対応している。

■セグメント業績

①建設機械ビジネス

 上述の背景と理由により、第1四半期の売上収益は、2,393億6千6百万円(同15.9%)、調整後営業利益は、186億7千8百万円(同84.1%)となった。

②ソリューションビジネス

 同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されている。

 4~6月期の売上収益は、マイニングの市場環境が堅調に推移したことに為替影響等が加わった結果、291億4千8百万円(同29.3%)となった。調整後営業利益は、鋼材価格を中心としたコスト増加の影響を受けたものの、売上収益の増加と為替影響等により19億2千1百万円(同13.6%)となった。

 なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。

■今後の見通し

 2022年度の油圧ショベル需要については、年度当初からの見通し通り北米・アジア・日本・オセアニアといった地域では昨年度の勢いを維持するものの、市況の低迷が続く中国や、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けるロシアCISで大幅に減少し、欧州にも少なからず影響があると見込んでいることから、世界全体では前回4月公表時点の見通し約22.4万台を変更していない。

 マイニング製品の需要については、ロシア産資源の急減による反動や高水準の資源価格を背景に、ロシアCIS以外の主要地域では引き続き堅調に推移すると見込んでいる。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受け、ロシアCISでの大幅な需要減が見込まれるため、世界全体では前回公表時点の見通しと同水準を見込んでいる。

 需要見通しは同社予想通りに推移している中、依然長期化が予想される半導体等の調達リスク、鋼材価格を中心としたコスト増加の影響等については、前回公表時点の厳しい見方を変えない一方、前提となる為替レートを、米ドル130円、ユーロ140円、人民元19.5円、豪ドル90円へと変更したこと等から、2023年3月期連結業績予想(2022年4月1日~2023年3月31日)を、下記のとおり変更した。

 売上収益1兆400億円(前期比1.5増、前回予想9,600億円)、調整後営業利益940億円(同0.5%増、同800億円)、親会社株主に帰属する当期利益570億円(同24.8%減、同450億円)。

 日立建機株の2023年3月期第1四半期決算短信と説明会資料