住友金属鉱山のサイコックス、8 インチ貼り合せ SiC 基板開発ラインの新設を決定

・グループ会社「大口電子」(鹿児島)内に開発ラインを設置

 住友金属鉱山(東京都港区)は7月22日、100%子会社である ㈱サイコックス(東京都港区)が、8 インチ貼り合せ SiC 基板開発ラインを新設することを決定したと発表した。住友金属鉱山グループの大口電子(鹿児島県伊佐市)内に開発ラインを設置し、完工は 2024 年 3 月を予定 している。さらに、需要の拡大に合わせてラインの増強を行い、2025 年には既存の 6 インチ貼 り合わせ SiC 基板量産実証ラインと合わせて、月産 1 万枚(6 インチ換算)を目指す。

 SiC は主に電力を制御する用途で使用されるパワー半導体に使用される半導体材料。従来の シリコンと比較して高電圧に対応可能で、エネルギー損失も大幅に低減できることから、特に近 年はハイブリッド車や電気自動車などの駆動制御装置で要求される大容量領域(大電流・高耐電 圧)において、装置全体の小型化、EV の航続距離向上も後押しできる優れた材料として、注目さ れている。SiC パワーデバイスの市場は急速に拡大しており、2025 年には 2021 年比 5 倍の 3,500 億円前後の規模に成長すると推測している。

 サイコックスが製造販売する貼り合せ SiC 基板(商品名「SiCkrest®(サイクレスト®)」) は、独自の接合技術を応用してウエハーを 2 層化することで、性能面とコスト面を両立させた製品。低抵抗多結晶 SiC 支持基板の上に高品質な単結晶を薄く貼り合せることによって、単結晶 SiC の特性を維持しつつ、基板全体の低抵抗化、高強度化を実現している。また、希少で高 価な単結晶基板 1 枚から 50 枚以上の貼り合せ基板を製造可能なため、急速に拡大するであろう SiC 基板需要に柔軟に対応し、環境負荷低減に貢献できると考えている。

 サイコックスでは、2017 年より 6 インチ SiCkrest®の量産実証ラインの構築を進め、一部の顧客への販売を行っており、今回の 8 インチ開発ライン導入により、顧客の大口径基板の要望に早期に対応できるようになる。

 住友金属鉱山グループは、「2030 年のありたい姿※」に「温室効果ガス(GHG)排出量ゼロに向け、排出量削減とともに低炭素負荷製品の安定供給を含めた気候変動対策に積極的に取り組んでいる企 業」を掲げている。 SiC パワーデバイスは、脱炭素社会の実現に向けてのキーデバイスであり、その基板として使用される住友金属鉱山グループの SiCkrest®は GHG 削減に貢献する低炭素負荷製品。住友金属鉱山は今後もカーボンニュートラルに貢献する製品・新技術・プロセスの開発推進に向け て取り組んでいく。

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