TANAKA ホールディングス(東京都千代田区)は7月21日、田中貴金属工業(東京都千代田区)が台湾・新竹県の湖口工場に新棟を建設すると発表した。台湾における貴金属リサイクル事業を拡大する。
新棟は、台湾内における貴金属リサイクルのワンストップ化とさらなる事業拡大のため、約35億円の投資を行い、建設する。新棟は、地下 1 階・地上 8 階の建物を予定しており、完成後の湖口工場全体の床面積は、約6倍になる。工場稼働は 2025 年上期を予定している。
2026 年までに台湾内でのリサイクル事業を拡大することで、貴金属材料の安定的な供給を行い、 半導体市場全体で大きなシェアを持つ台湾の半導体産業への貢献も見込んでいる。
台湾田中貴金属工業では、2005 年の湖口工場設立以来、台湾内での貴金属回収・精製事業を行ってきた。近年の半導体需要の高まりや、世界的に大きな流れとなりつつある、環境負荷低減やサステナブルな材料や製品ニーズの増加により、さらに台湾内での貴金属リサイクル事業を推進することにした。
現状は、貴金属回収・精製事業において、現地企業の協力や、台湾外での加工作業などを行い、事業展開をしている。今後は、新棟設立により、貴金属回収・精製事業を台湾内の台湾田中貴金属工業のみで完結させることを目指す。また、貴金属めっき廃液やプロダクションスクラップ、自動車・石油化学系使用済み触媒などの貴金属を高回収率でリサイクルし、高純度に精製し、顧客の希望する製品として返却することが可能。全工程を台湾内で完結させることにより、輸出入工程の削 減にも寄与できると考えている。
貴金属リサイクルにおいて重要な点は、リサイクル材にどれくらいの貴金属が含まれているかを分析する能力。田中貴金属工業では、長年の貴金属研究開発で培った、高度な貴金属分析技術を持っているため、顧客からの回収品を正確に評価することが可能。
田中貴金属工業は、台湾内における貴金属回収・精製事業のワンストップ化を通したリサイクル事 業の拡大により、現在、世界的に求められている循環型社会の実現に貢献していく。
■台湾田中貴金属工業について
台湾田中貴金属は 1987 年に新竹工場を設立し、電気接点の製造を開始した。その後、2005 年 に湖口工場を設立し、再利用のライセンスにて貴金属の回収精製を行っている。
先端技術と良質なサービスを提供するために、湖口工場は、長年にわたる運営経験、日本の工場と同等の、貴金属精製装置を導入している。更に、顧客に対して、貴金属めっきの技術サポート、 貴金属回収システムの提案を行う為に、日本人エンジニアを数名常駐させ日本と同レベルの高品質な サービスを実現している。
<新棟概要>
工場名:台湾田中貴金属工業股份有限公司 湖口工場新棟
延床面積:約8,300平方メートル
構造:地下1階、地上8階
事業内容:貴金属工業製品の製造、貴金属の回収・精製
稼働予定:2025年上期
<台湾田中貴金属工業股份有限公司>
本社所在地:台湾台北市松山区敦化北路88號11樓之2
設立:1986 年
代表者:董事長 七田巧
事業内容:電気接点の製造、線材の加工、貴金属の回収・精製
■田中貴金属グループについて
田中貴金属グループは 1885 年(明治 18 年)の創業以来、貴金属を中心とした事業領域で幅広い活動を展開してきました。国内ではトップクラスの貴金属取扱量を誇り、長年に渡って、産業用貴金属製品の製造・販売ならびに、資産用や宝飾品としての貴金属商品を提供しています。貴金属に携 わる専門家集団として、国内外のグループ各社が製造、販売そして技術開発において連携・協力し、 製品とサービスを提供しています。(※)2021 年度(2022 年 3 月期)の連結売上高は 7,877 億円 、5,225 人の従業員を擁しています。
*リリース内容から一部「ですます調」で表記しています。