日揮グループの日本ファインセラミックス、半導体用セラミックス製品の高精度化・増産に向けた設備投資を決定

・総投資額は約20億円、2023年度内の操業開始を予定

 日揮ホールディングスは6月15日、グループの機能材製造事業会社である日本ファインセラミックスが、宮城県富谷市の同社事業所(宮城県富谷市高屋敷2番地)および仙台市の本社事業所(宮城県仙台市泉区明通三丁目10番)において半導体製造装置用セラミックス製品の高精度化およびパワー半導体用窒化ケイ素基板の増産に向けた設備投資の実施を決定したと発表した。総投資額は約20億円で、2023年度内の操業開始を予定している。

 低炭素・脱炭素社会の実現やデジタルトランスフォーメーションの加速により、半導体産業は今後ますます発展することが予想されており、半導体製造装置市場は2020年の約8兆円から2021年は約11.7兆円と大きく成長し、さらに2022年には約13兆円に拡大することが見込まれている(「SEMIジャパン」調べ)。また、電気自動車、高速鉄道や産業機器の省電力化に必要不可欠な各種機器の電力を制御するパワー半導体市場も、2020年の約4.7兆円から2027年には約5.9兆円へと拡大していくという見通しもある。加えて、パワー半導体を組み合わせたパワーモジュールの性能向上に向けて、パワー半導体が発する熱を効率的に放熱するための絶縁放熱基板の普及が期待されている状況にある。

 日本ファインセラミックスでは、半導体製造装置用セラミックスに関しては、炭化ケイ素製あるいは窒化ケイ素製のセラミックス部品のみならず、軽量・高剛性を特徴とするMMC(Metal Matrix Composites:金属・セラミックス複合材料)部品の中で、特にミクロン単位の平行度(平面度)を実現した高精度な部品の引き合いが増加している。今回の設備投資では、こうした顧客ニーズに応えるために、セラミックスおよびMMC部品をより高精度な部品に仕上げていくための精密加工装置や高精度測定機器を導入する計画。

 また、高い熱伝導率(90W)に加えて優れた機械的性質や絶縁性を有し、車載用パワー半導体の絶縁放熱基板として、自動車メーカーおよび回路基板メーカーから高い評価を獲得している窒化ケイ素セラミックス製絶縁放熱基板については、2020年10月に量産工場が完成し生産を開始しているが、今後さらに拡大していく需要に応えるために増産に向けた設備投資を実施する。

 日本ファインセラミックスは、今回の設備投資によって半導体製造装置用セラミックスや窒化ケイ素セラミックス製絶縁放熱基板などの製造能力を現行の1.5倍に拡大するとともに、今後さらなる増産も積極的に検討・計画していく予定。

 日揮グループは、2021年度から2025年度の5か年を対象とする中期経営計画「BSP2025」における重点戦略として、触媒、ファインケミカル、ファインセラミックス製品などの”高機能材製造事業の拡大”を掲げており、今後も、今般の半導体用セラミックス製品を含め、高機能材製造事業の拡大に向けて積極的に取り組んでいく。

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