㈱三井E&Sマシナリー(東京都中央区)と三井情報(東京都港区)は6月8日、鈴与(静岡市)より受注している遠隔操作のタイヤ式門型クレーン(RTG、商品名トランステーナ®)へローカル5G通信を適用すべく試験を開始したと発表した。ローカル5G通信を適用した遠隔操作トランステーナ®は大分工場内での試験後、清水港新興津コンテナターミナル(以下、CT)で5G通信ネットワークの構築及び総合試験運転を経て2023年9月から実運用を開始する予定。
三井E&Sマシナリーは、鈴与に遠隔操作トランステーナ®を22基納入する計画で、その内12基がケーブルリール型、10基がハイブリッド型。ケーブルリール型は地上設備から給電を受けるケーブル内に光ファイバを設置しており、有線で管理棟との通信を行う。一方、ディーゼルエンジン発電機セットを搭載したハイブリッド型は管理棟との通信を無線通信で行う。
遠隔操作トランステーナ®では、クレーン機上運転席ではなく管理棟に設置された遠隔操作卓で複数・大容量のカメラ映像を確認しながら運転を行うため、大容量高速通信及び通信周波数の占有が必要となる。また、遅延の少ない映像や制御信号を提供することが重要で、リアルタイム性の担保が必要となる。ケーブルリール型は有線通信方式のため、上記の要件を満たしているが、従来の無線通信方式を使用した一定台数以上のハイブリッド型は他システムとの周波数共用や帯域不足といった技術面での懸念が問題となっていた。
以上より、三井E&Sマシナリーでは高速・低遅延通信を提供する5G通信を遠隔操作トランステーナ®に適用することを検討してきた。
5G通信には、通信インフラを電気通信事業者が提供するキャリア5G通信と、専用の通信網を独自に構築するローカル5G通信があり、三井E&Sマシナリーでは三井情報と共同で遠隔操作トランステーナ®へローカル5G通信適用に向けて開発に取り組んできた。
今回、三井E&Sマシナリーでは三井情報と共に、鈴与より受注している遠隔操作トランステーナ®へローカル5G通信を適用する試験を開始した。三井情報の社内施設での試験後、2022年10月に大分工場内へ通信機器を常設し、試験を実施する予定。大分工場内での試験完了後、清水港新興津CTで5G通信ネットワークを構築し、現地での総合試験運転を経て2023年9月から実運用を開始、2025年3月までに計22基が段階的に納入される予定。
遠隔操作トランステーナ®へのローカル5G通信適用後は、全10基のハイブリッド型遠隔操作トランステーナ®における遠隔操作の実現、従来の無線通信方式と比較した際の遠隔操作の操作性向上が期待される。
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