日立エナジー、ドイツ鉄道から 120MW の周波数変換所設備一式を受注

・鉄道用電力網への電力安定供給を支援

 日立エナジーは6月1日、 ドイツの国営鉄道事業者であるドイツ鉄道傘下の DB エネルギーから、 鉄道向けの 120MW の周波数変換所設備および 30 年間の保守サービスを受注したと発表した。同設備は、配電網の 50Hz の電力を 16.7Hz に変換し、ドイツ鉄道が有するベルリン周辺の鉄道用電力網に供給するためのものであり、ベルリンの南約20km に位置するティロー変換所に設置される。今回の受注は、昨年、ドイツ鉄道から受注した、鉄道向けとして世界最大クラスの変換所の一つとなる、ハレ・ライプツィヒ近郊の 160 MW の 周波数変換所設備に続くもの。

 ドイツ政府とドイツ鉄道は、2020 年 1 月に、鉄道網の整備拡大や近距離旅客輸送の強化など鉄道 網の刷新に対して、2030 年までに 860億ユーロを投資する計画に調印した。その中でドイツ鉄道は、ドイツ各都市および近隣諸国への高速鉄道網の中心であり、都市鉄道網が発達しているベルリン周辺の鉄道網への電力の安定供給を維持するため、既設の周波数変換所設備の更新を計画しており、今回の受注はそれに基づくもの。

 日立エナジーは今回、ティロー変換所の可用性の最大化および、電力損失の最小化、安定した信頼性の高い電力供給を実現するため、日立エナジーの最新のパワー半導体を使用した 40 MW の静止型周波数変換 装置3基と、開閉装置、変圧器、制御装置を納入し、30 年間の保守サービスも提供する。また、開閉装置と変圧器の稼働データを収集するためのデジタルセンサーも納入予定であり、ドイツ鉄道は収集したデータを分析することで、設備の状態に基づいたメンテナンスを実施することが可能になる。

 日立エナジーのグリッドインテグレーションビジネスユニット担当役員であるニクラス・パーソンは、 「日立エナ ジーが、ドイツ鉄道の鉄道用電力網への 16.7 Hz の電力供給を支援するパートナーに選ばれたことを大変嬉しく思います。本件は、エネルギー転換の加速と持続可能なエネルギーの未来の実現に向けた、お客さま やパートナーとの協創の一例です。」 と述べている。

 日立エナジーは、鉄道向け周波数変換所設備や再生可能エネルギーの送電網への連系など、系統連系および電力品質ソリューションをグローバルに提供している。

■参考情報

(1) 静止型周波数変換装置について
 鉄道向け周波数変換所の静止型周波数変換装置は、 50Hz または 60 Hz の三相送配電網と、 16.7Hz、25Hz、50Hz、60 Hzの単相鉄道用電力網を接続し、有効電力の送電や無効電力の制御を行 う。また、系統障害時には速やかに独立運転モードに切り替わりる。

(2) 電力変換・制御技術ついて

 日立エナジーの静止型周波数変換装置は、IGCT *1 をはじめとする当社の電力変換・制御技術がベース になっている。IGCT は、周波数変動や系統障害に瞬時に反応し、系統の安定性や電力品質を確保するパワー半導体。電力変換・制御技術は、HVDC *2 や FACTS *3 など、日立エナジーのさまざまなソリュー ションに不可欠。

*1 Integrated Gate-Commutated Thyristor (集積ゲート整流サイリスタ)

*2 High Voltage Direct Current (高圧直流送電)

*3 Flexible Alternating Current Transmission Systems (フレキシブル交流送電システム)

■日立エナジーについて
 日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来へ向けた取り組みを加速する、グローバルな技術リーダーです。さまざまな分野のお客さまに、バリューチェーン全体にわたる革新的なソリューションとサービスを提供すると ともに、お客さまやパートナーとの協創により、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー転換に必要な、デ ジタル技術を活用した変革を実現します。日立エナジーは、社会価値、環境価値、経済価値のバランスを 取りながら、世界でより持続可能、より柔軟、より安心・安全なエネルギーシステムを構築する取り組みを進 めています。スイス・チューリッヒに本社を置き、全世界 90 カ国に約 38,000 人の従業員を擁しており、140 カ国以上の導入実績と、約 1 兆円の事業規模を有しています。

 詳しくは、ウェブサイト(https://www.hitachienergy.com/jp/ja)をご覧ください。

■日立エナジー関連リンク

(1) 公式 Linkedin(英語) https://www.linkedin.com/company/hitachienergy

(2) 公式 Twitter(英語) https://twitter.com/HitachiEnergy

■日立製作所について
 日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。金 融・官公庁・自治体・通信向け IT サービスやお客さまの DX を支援する「デジタルシステム&サービス」、エネ ルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘル スケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつ なぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステム」 の事業体制のもと、IT や OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用する Lumada ソリューションを通じてお客 さまや社会の課題を解決します。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長を めざします。2021 年度(2022 年 3 月期)の連結売上収益は 10 兆 2,646 億円、2022 年 3 月末時点で 連結子会社は 853 社、全世界で約 37 万人の従業員を擁しています。 詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

■日立グループ パワーグリッドポータルサイト https://www.hitachi.co.jp/products/energy/pg/

 ニュースリリース
*リリース内容から一部「ですます調」で表記しています。