日精樹脂工業、21年度売上は17.1%増の487億円、22年度予想は4.7%増の510億円

 日精樹脂工業が5月13日に発表した2022年3月期(21年度)連結業績によると、売上高は前期比17.1%増の487億3千1百万円となった。 新型コロナウイルス感染症の世界規模の感染拡大による経済の停滞から 一定の回復が見られた。利益面は、主力である射出成形機の需要が回復したこと等から営業利益25億7千7百万円(同125.1%増)、経常利益は29億4千万円(同174.6%増)となった。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、26億8千万円(同347.6%増)となった。

 新型コロナウイルス感染症により停滞した2021年度における世界経済経は、期初において回復基調で推移したが、世界的な半導体等の部材不足およびウクライナ情勢の悪化を端とする急激な円安の進 行等、不透明な状況で推移した。

 射出成形機業界は、自動車関連を中心に新型コロナウイルス感染症の感染拡大により停滞していた需要が回復基調だったが、世界的な部材不足による調達難等により厳しい経営環境となった。

 このような状況のもと、日精樹脂工業は、長期的な視点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最 終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて推進すると同時に第66期を最終年度とする第三次中期経営計画に基づいた事業を展開した結果、第66期は各業績予想値を達成した。

 日精樹脂2022年3月期データ

<セグメントの状況>

日本:自動車関連等の需要が堅調に推移したこと等から売上高(外部顧客への売上高)164億8千2百万円(前年同期 比16.7%増)、セグメント利益は18億2千9百万円(前年はセグメント損失1億1千3百万円)となった。

欧米地域:自動車関連等の需要が堅調に推移したこと等から売上高(外部顧客への売上高)178億7千9百万円(前年同期 比8.9%増)、セグメント利益は4億8千5百万円(同35.5%増)となった。

アジア地域:IT関連を中心に需要が堅調に推移したこと等から売上高(外部顧客への売上高)143億6千9百万円(前年同期 比30.0%増)、セグメント利益は8億1千4百万円(同59.8%増)となった。

<製品別売上高>

 主力である射出成形機については、売上高は379億8千9百万円(前年同期比21.1%増)となった。 このほか、部品の売上高は66億4千万円(前年同期比10.0%増)、周辺機器の売上高は20億4千万円(同15.0% 増)と増加したが、金型等の売上高は、20億6千万円(同14.7%減)となった。

次期の見通し

 次期の見通しについては、新型コロナウイルス感染症により停滞した経済活動の回復が継続することが見込まれるものの、半導体不足、鉄鋼価格の上昇、プラスチック材料の不足、値上げ等の懸念から先行きは不透明である。また、世界において環境問題が指摘されており、その対応が急務となっている。

 このような状況下において、日精樹脂工業グループとしては、環境経営を強化するため、セールス、生産、商品、リスク等の全ての企業活動を環境視点で考える「環境対応技術のビジネス化」により売上増加に繋げていく。具体的には、セールス戦略としては、顧客の課題解決型企業として、各展示会および内覧会等を活用した提案型営業により、ソリューションビジネスモデルを提案し、顧客に満足を提供していく。海外市場において は、自動車・IT・医療、容器等を柱としたセールス展開を強化する。 生産体制については、グローバルサプライチェーンの強化により、品質、コスト、納期対応の向上を図るとともに為替リスクの低減を実践していく。部材等の調達難に備え、計画的な調達体制および供給体制の再構 築を実施していく。

 商品開発については、中・長期ロードマップに基づく計画的な商品開発・研究開発を行い、市場投入を図っていく。同社成形技術による低圧成形およびダウンサイジング化の推進等により更なる拡販を押し進めていく。

 このような環境の中、2022年度(2023年3月期)の連結業績見通しについては、売上高51,000百万円 (前年同期比4.7%増)、営業利益3,000百万円(同16.4%増)、経常利益3,100百万円(同5.4%増)、親会社株主 に帰属する当期純利益1,900百万円(同29.1%減)を予想している。

 日精樹脂工業の2022年3月期決算短信

 中期経営計画