古河機械金属の機械部門、21年度売上は12%増の769億円、22年度予想は2%増の786億円

 古河機械金属が5月12日に発表した2022年3月期(2021年度)連結業績によると、売上高は、1,990億97百万円(対前期比393億94百 万円増)、営業利益は、77億34百万円(対前期比21億42百万円増)となった。うち、産業機械、ロックドリルおよびユニックの機械事業の合計売上高は、769億38百万円(対前期比83億3百万円増)、営業利益は、46億79百万円(対前期比7億10百万円増)となった。産業機械部門およびユニック部門は、増収減益となったが、前期に営業損失を計上したロックドリル部門は、増収で利益計上となった。

 2021年度(2021年4月~22年3月)の我が国経済は、海外経済の回復を背景とした輸出の増加が、製造業を中心に企業収益や設備投資の改善に寄与し、また、新型コロナワクチンの接種の進展や、新型コロナウイルス 感染症の急速な感染拡大を受けて発出されていた緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が、9月末に全都道府県 で解除されたことにより、年末にかけて個人消費についても回復傾向となった。

 一方で、半導体や主要部品の不足、原材料価格やエネルギーコストの上昇、コンテナ輸送能力の不足による運賃高騰など、世界的なサプライチ ェーンの混乱が、企業の生産活動に影響を及ぼし、年明けからは、感染力の強いオミクロン株の感染者や濃厚接触 者が急増したことにより、まん延防止等重点措置が再発出されるなど、消費活動や企業の生産活動が抑制され、更 にロシアのウクライナ侵攻が、国内経済の先行きについての不透明感を高める状況となった。

 古河機械金属2022年3月期データ

機械部門の概況

<産業機械>

 産業機械部門の売上高は、177億23百万円(対前期比10億41百万円増)、営業利益は、13億96百万円(対前期比7 億17百万円減)となった。

 当期の受注高は、東海環状大安2高架橋3鋼上部工事(三重県いなべ市)や亀戸駅前 歩道橋架替工事(東京都江東区)、中央自動車道新小仏トンネル工事向け密閉式吊下げ型コンベヤ(SICON®)など の受注があり、前期並みとなったが、当期末の受注残高は、マテリアル機械やプロジェクト案件の受注残高が減少したため、前期末に比べ減少した。

 小名浜港湾国際バルクターミナル向けの荷役設備や中央新幹線第一首都圏トンネル新設(北品川工区)工事向けSICON®等について、出来高に対応した売上高を計上した大型プロジェク ト案件や橋梁などのコントラクタ事業は、増収となった。また、マテリアル機械は、部品、オーバーホールな どの減収により、減益となった。

<ロックドリル部門>

 ロックドリル部門の売上高は、309億10百万円(対前期比67億61百万円増)、営業利益は、11億17百万円(前期は 13億24百万円の損失)となった。前期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、損失計上となったが、当期は国内外ともに増収となり、営業利益は大幅に改善し、利益計上となった。特に、海外については、 円安による増収効果があった。

 製品別では、全ての製品で増収となり、建設機械需要の旺盛な北米を中心に、 油圧クローラドリルは、北米、中近東、アフリカおよび東南アジア、油圧ブレーカは、欧米で増収となり、また補用部品は、国内および北米で増収となった。

<ユニック部門>

 ユニック部門の売上高は、283億5百万円(対前期比5億円増)、営業利益は、21億65百万円(対前期比10億14百万 円減)となった。国内では、主として、第2四半期までは、昨年度設備投資を抑えていた広域レンタル会社や業 販向けが、投資意欲の回復により増加していたが、第2四半期後半から、海外部品の調達難に伴うトラックの生産遅延や減産によるクレーン架装の遅れを主因として、減収となり、また、鋼材など原材料価格の値上げ等により 原価率は悪化し、減益となった。

 海外では、中国において、ユニッククレーンの出荷が増加し、増収となったが、北米においては、ビル建設用の資材不足により、市場の回復が遅れているため、ミニ・クローラクレーン の出荷が減少し、減収となったことや、海上運賃の高騰もあり、営業利益は、前期並みとなった。

次期の見通し

 2023年3月期の通期の業績予想については、売上高は、2022年3月期に比し、104億2百万円増収の2,095億円となる見込みで、営業利益については、7億34百万円減益の70億円となる見込み。経常利益は、為替差益の計上などがあった当期に比し、20億96百万円減益の69億円となる見込みで、親会社株主に帰属する当期純利益は、17億77百万円減益の47億円となる見込み。

機械部門の業績予想

 産業機械部門は、ポンプ、下水処理場の長距離移送設備や汚泥処理などのポンプ設備、橋梁などの増収により、増益となる見込み。

 ロックドリル部門は、製品価格の値上げや円安による増収効果を見込むものの、主として、リニア中央新幹線の工期遅れなど、トンネルドリルジャンボ関連の売上の減少もあり、全体としては、売上高は、減収となるが、 営業利益は、増益となる見込み。

 ユニック部門は、クレーン架装に影響を及ぼしているトラックの生産遅れや減産等の混乱が、年度後半に向けて 緩やかに回復すること、また、建設資材不足により市場の回復が遅れていた北米などの回復を見込む一方、ロシア のウクライナ侵攻による減収の影響や、鋼材など原材料価格の値上げ等の影響があり、全体としては、増収となる ものの、営業利益は当期並みの見込み。

 古河機械金属の2022年3月期決算短信