北越工業が5月10日に発表した2022年3月期(2021年度)連結業績によると、売上高36,650百万円(前期比11.3%増)は、営業利益3,570百万円(同43.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,748百万円(同41.4%増)となった。
2021年度(2021年4月~22年3月)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス のワクチン接種が広く浸透し、9月以降新規感染者数が減少傾向で推移したことで経済活動の正常 化が期待されたが、新たな変異株が拡大するなど依然として予断を許さない状況で推移した。また、経済の正常化に向けた需要の増加とコロナ感染対策による生産活動の制限による原材料 の供給不足及び価格高騰が懸念された。
世界経済においては、先進国を中心にワクチン接種率の増加に伴い経済回復を加速させていたが、ウクライナ情勢の緊迫化の影響を受け、さらなるエネルギー価格の高騰や原材料不足を招くなど、依然として先行きは不透明な状況で推移した。
このような情勢のなかで北越工業グループは、感染拡大防止ガイドラインに沿った業務形態を維持すると共に、急激に経済回復する地域での受注獲得に努めてきた。また、全社的な原価改善 活動や経費削減を推進し、利益改善を図ってきた。
<建設機械事業>
建設機械事業セグメントは、主にエンジンコンプレッサ、エンジン発電機、高所作業車などの事業で構成している。販売面では、国内は防災・減災、国土強靭化に沿った公共工事は高水準で底堅く推移したが、新型コロナウイルス感染症の影響によって民間投資の新規建設工事需要の回復が遅れ、出荷は 低調に推移した。海外においては、特に北米向けが前年度低迷した需要の反動増によって大幅に受注が伸長したことに加え、為替の円安効果もあり売上を大きく伸ばした。また、中国を除 くその他すべての地域においても堅調に推移した結果、前年同期比で増収となった。利益面では、海上輸送コストの高騰に加え、21年度後半からの鋼材を中心とした原材料コストの増加はあったが、海外向け製品の受注増加により工場の操業度が回復し、円安効果も重なったことで損益が改善された結果、前年同期比で増益となった。
<産業機械事業>
産業機械事業セグメントは、主にモータコンプレッサ、非常用発電機、部品、サービスなどの事業で構成している。 販売面では、主力のモータコンプレッサは、前年度より落ち込んでいた設備投資マインドが回復に向かい、2021年度後半から開始したコベルコ・コンプレッサ向けのOEM供給効果もあり堅調に推移したが、災害発生時におけるガソリンスタンドのバックアップ用や、河川氾濫に備えた排 水ポンプ用などの非常用発電機の需要が一服した結果、前年同期比で減収となった。利益面で は、このコロナ禍でも部品、サービス部門は堅調に推移したが、売上高の減少に伴い前年同期 比で減益となった。
■次期の見通し
今後の経済見通しについては、足元では国内は新型コロナウイルス新規感染者数の減少が確実なものとはならず、海外でも一部の地域で変異株の感染拡大が進行している状況に加え、ロシア によるウクライナ侵攻及びロシアに対する各国政府の経済制裁による影響など、これまでに増して 先行きは不透明な状況。
このような経済環境の下、北越工業グループはこれまで培ってきたコアテクノロジーを基盤に、変化 する市場にマッチした製品展開を図り、持続的な企業価値の向上を目指していく。
国内では、経済の回復に沿って設備投資意欲の高まりが見込まれ、特に新規建設工事の増加が顕著になっている。海外においても北米を中心とした各国におけるインフラ整備工事、住宅 関連工事向け建設機械の需要の高まりは今後も継続するものと考えている。
2023年3月期の連結業績の見通しについては、以下のとおり予想している。
売上高40,000百万円(前期比9.1%増)、営業利益3,820百万円(同7.0%増)、経常利益4,000百万円(同1.4%減増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,760百万円(同0.4%増)を予想している
なお、業績予想の為替レートは、1米ドル=120円、1ユーロ=130円を前提としている。
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