住友重機械、21年度売上は11.2%増の9,440億円、22年12月期(9か月)予想は8,500億円

 住友重機械工業が5月10日に発表した2022年3月期(2021年度)連結業績よると、受注高は1兆753億円(前期比32.1%増)、売上高は9,440億円(同11.2%増)となった。損益面については、営業利益は657億円(同27.9%増)、経常利益は648億円(同30.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は441億円(同64.6%増)となった。また、ROIC*は7.3%となった。

*ROICとは、投下資本利益率であり、投下資本(株主資本と有利子負債の合計金額)に対してどれだけ利益を出しているか、資本のコストに見合う収益性があるかを示す指標である。

 住友重機械工業2022年3月期データ

■2021年度の概況

 2021年度における同社グループを取り巻く経営環境は、国内においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一部残るものの製造業を中心に設備投資に回復が見られ、海外においては、米国や欧州などで経済の回復を背景に設備投資が回復し、世界的に機械需要は増加基調となった。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響が残る一部の地域や業種では回復の動きが遅く、二極化の動きが見られた。また、これに加え、原材料や調達品の価格上昇と需給逼迫、米中貿易摩擦の深刻化、地政学上のリスクの継続及び原油価格の変動など、不透明感が残る状態でもあった。

 このような経営環境のもと、同社グループは「中期経営計画2023」を策定し、製品・サービスによる社会課題解決を通じて持続的に企業価値を拡大することをめざし、強靭な事業体の構築、企業価値向上のための変革、SDGsへの貢献拡大、環境負荷低減への取組み強化などの施策を推進してきた。

■部門別事業の状況

 2021年度より、「中期経営計画2023」の方針を踏まえ、報告セグメントを変更している。この変更に伴い、同社グループの報告セグメントは「機械コンポーネント」、「精密機械」、「建設機械」、「産業機械」、「船舶」、「環境・プラント」から、「メカトロニクス」、「インダストリアルマシナリー」、「ロジスティックス&コンストラクション」、「エネルギー&ライフライン」に変更した。

<メカトロニクス部門>

 国内や欧米で中小型の減・変速機やロボット用精密減速機、モータの需要が増加し、受注、売上、営業利益ともに増加した。この結果、受注高は1,945億円(前期比42%増)、売上高は1,610億円(前期比21%増)、営業利益は64億円(前期比106%増)となった。

<インダストリアルマシナリー部門>

 プラスチック加工機械事業は、中国の電気電子関連や欧州での需要増加により、受注、売上、営業利益ともに増加した。その他の事業では、半導体関連の需要が増加したことから受注、売上は増加したものの、売上の機種構成の変化により営業利益は減少した。この結果、受注高は2,890億円(前期比56%増)、売上高は2,306億円(前期比13%増)、営業利益は193億円(前期比22%増)となった。

<ロジスティックス&コンストラクション部門>

 油圧ショベル事業は、国内市場が堅調であったことや北米地区の需要が増加したことから、受注、売上、営業利益ともに増加した。その他の事業では、建設用クレーン事業が、国内や北米地区の需要が回復してきたことから、受注、売上、営業利益ともに増加したが、運搬機械事業は、造船や鉄鋼関連の需要回復が遅れていることから、受注、売上、営業利益ともに減少した。この結果、受注高は4,001億円(前期比31%増)、売上高は3,414億円(前期比13%増)、営業利益は193億円(前期比42%増)となった。

<エネルギー&ライフライン部門>

 エネルギープラント事業は、国内のバイオマス発電設備の大型案件が前期に比べ減少したことから受注は減少したが、受注残があったことから売上、営業利益はともに増加した。その他の事業では、受注は増加したが、売上、営業利益はともに減少した。この結果、受注高は1,856億円(前期比3%増)、売上高は2,051億円(前期比1%増)、営業利益は182億円(前期比9%増)となった。

<その他部門>

 受注高は61億円(前期比4%増)、売上高は60億円(前期比1%減)、営業利益は24億円(前期比17%増)となった。

■今後の見通し

 住友重機械工業は2022年6月29日開催予定の第126期定時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されることを条件として、2022年度より決算期を3月31日から12月31日に変更することを予定している。決算期変更の経過期間となる2022年12月期は、住友重機械工業並びに3月決算の子会社は2022年4月1日から2022年12月31日の9か月間を、12月決算の子会社は2022年1月1日から2022年12月31日の12か月間を連結対象期間としている。

 現時点での2022年12月期の業績見通しは、以下のとおり。なお、決算期変更の経過期間となることから、対前期増減率は記載していない。

 売上高8,500億円、営業利益510億円、経常利益490億円、親会社株主に帰属する当期純利益300億円。

 (為替レートは1ドル=120円、1ユーロ=130円を前提としている。)

 住友重機械工業の2022年3月期決算短信

 決算説明資料