東洋機械金属、2021年度売上は33.8%増の332億円、22年度予想は0.7%増の335億円

 東洋機械金属が4月26日に発表した2022年3月期(2021年度)連結業績によると、受注高は36,137百万円(前年同期比22.5%増)、売上高は33,273百万円(同33.8%増)となり、過去最高の水準となった。このうち、国内売上高は8,743百万円(同26.6%増)、海外売上高は24,530百万円(同36.5%増)となり、海外比率は73.7%となった。利益については、長期化する部材供給不足に伴う生産遅延や海上運賃値上がりの影響を受けて物流費コスト増となったが、売上高の増加、設備投資による生産の効率化及び操業度増効果などが寄与したことにより、営業利益は1,759百万円(前年同期は営業損失211百万円)、経常利益は1,970百万円(前年同期は経常損失101百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,276百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失232百万円)となった。

 東洋機械金属2022年3月期データ

 2021年度(2021年4月~2022年3月)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が続く中、ワクチン接種の普及が進むにつれて経済活動の段階的な再開により消費活動の正常化が進んだが、新たな変異株が拡大するなど依然として予断を許さない状況で推移した。また、世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響やウクライナ情勢の緊迫化の影響を受け、半導体をはじめとする部材需給がさらに逼迫すると同時にエネルギー価格がより一層高騰することなどが景気減速の懸念となり、先行きは不透明な状況で推移した。

 同社グループの事業に関連する業界においては、主要部材の調達先が新型コロナウイルス感染症による生産活動の制約を受けたこと及び世界的なコンテナ不足に伴う物流の停滞によってサプライチェーンが混乱したことなどにより、部材の調達が不安定となったが、業界の設備投資意欲は国内・海外共に回復し、需要は堅調に推移した。

 このような市場環境のもと、同社グループは2024年3月期を最終年度とする第3期中期経営計画に基づいた事業活動を推進し、中長期的な視点からの持続的な成長と安定した収益確保に取り組んできた。

<射出成形機>

 射出成形機については、国内は自動車部品、日用雑貨や容器類などの生活用品や医療機器関連が増加した。また、海外においては、中国でのIT電子機器や医療機器関連の小型機が増加した。また、アジアでの自動車関連や欧州における生活用品関連の中大型機が増加した。この結果、受注高は26,648百万円(前年同期比10.5%増)、売上高は25,961百万円(同32.4%増)となった。このうち、海外売上高は19,296百万円(同33.6%増)となり、海外比率は74.3%となった。

<ダイカストマシン>

 ダイカストマシンについては、国内は自動車関連の需要が回復し増加した。海外においては、中国やアジアで自動車関連が増加した。この結果、受注高は9,489百万円(前年同期比76.3%増)、売上高は7,312百万円(同38.9%増)となった。このうち、海外売上高は5,234百万円(同48.8%増)となり、海外比率は71.6%となった。

■今後の見通し

 今後の経済見通しについては、新型コロナウイルス感染症拡大が世界各地で続き、ロシアによるウクライナ侵攻及びロシアに対する各国政府の経済制裁に対する影響は、国内外の経済活動に大きく影を落としており、直近の急速な円安の動向も見通せず、これまでにも増して先行きは不透明な状況が続くことが予想される。

 一方、同社の事業に関連する市場においては、EV化、軽量化に向けた自動車関連の需要や5GでのスマートフォンやタブレットなどのIT関連、コロナ禍における医療機器関連や消費者のライフスタイル変化の影響から生活用品関連の需要の増加が見込まれ、受注環境は堅調に推移するものと予想される。

 このような市場環境のもと、同社グループは2024年3月期を最終年度とする3ケ年の中期経営計画(売上高350億円、営業利益率6.0%)の2年目を迎えた。これまでの成果を踏まえ、次期についても更なる事業拡大のための各種取り組みや個別事業戦略を推進していく。主な経営基本方針は、①顧客が抱えるモノづくりの領域の課題を解決し、顧客の付加価値向上に貢献する「Customers’ Value Up」の推進、②自社・顧客・社会が持続的に成長できる仕組みと体制を整備する「持続的成長に向けた新たな事業の取り組み」、③経営管理基盤と人財育成の仕組みを再構築し、コーポレート・ガバナンス体制の更なる強化を進める「経営基盤刷新と強化」、これらの基本方針の各種施策を全社一丸となって取り組み、中長期的な収益向上と企業の経済価値・社会価値向上に邁進していく。

 営業は販売代理店との連携強化を行い、成長市場への営業力を強化し、更なる受注獲得に努めていく。また、技術開発では、顧客の商品価値を高める当社独自技術とカスタマイズ対応力を活かし、環境にも配慮した社会のニーズに応える新製品の開発を行っていく。さらに生産では、常熟現地法人の新工場増設や明石本社の工場拡充で生産能力の拡大を図るとともに、原価低減プロジェクトによる原価管理体制の整備とコスト削減施策、スマートファクトリーの実現に向けたDX化を推進し、収益構造の変革と事業規模拡大に努めていく。

 足元では、部材の長納期化による生産遅延や部材価格の高騰などが業績に影響を与える懸念が生じている。一部に改善傾向が見られるものの、依然として半導体などの部材の確保については不透明な状況となっているが、堅調な国内外の需要に応えるため、必要な対策を講じることで次期業績への影響を最小化すべく、引き続き取り組んでいく。

 2023年3月期の通期連結業績の見通しについては、売上高33,500百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益1,850百万円(同5.1%増)、経常利益2,000百万円(同1.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,300百万円(同1.8%増)を見込んでいる。

 東洋機械金属の2022年3月期 決算短信

 決算説明資料