日立建機、2021年度売上は26%増の1兆249億円、22年度予想は6.3%減の9,600億円

 日立建機が4月27日に発表した。2022年3月期(2021年度)連結業績によると、売上収益は、コンストラクション・マイニング製品の新車販売のほか、部品サービスを中心としたバリューチェーン事業でも増加し、為替影響等も加わって1兆249億6千1百万円(対前年同期増減率26.0%)となった。

 利益項目について、調整後営業利益は、鋼材価格を中心としたコスト増加の影響があったものの、好調な市場環境を背景とした売上収益の増加や第2四半期に計上した米州向けの販売価格決定による調整額、生産稼働率向上による損益改善、為替影響等によって935億1千8百万円(同 185.9%)となった。

 親会社株主に帰属する当期利益は、調整後営業利益の増加に加え、ディ ア社との合弁事業解消に伴う持分法適用会社(ディア日立コンストラクションマシナリーCorp.及 びディア日立建機ブラジルS.A.)の株式譲渡益や海外の持分法適用会社による投資損益の増加、さらに第4四半期の常陸那珂工場隣接地の土地売却益等により758億2千6百万円(同633.3%) と大幅に増益となった。

 日立建機2022年3月期データ

■セグメントの業績

①建設機械ビジネス

    2021年度における油圧ショベル需要は、中国市場では前年同期を大幅に下回った一方で、中国以外の主要地域で堅調に推移し、世界全体でも前年同期を上回った。

 また、マイニング需要は、新型コロナウイルスの影響を受けていた鉱山の操業がほぼ正常に戻り、堅調な資源価格を追い風とした顧客の投資意欲の回復や、鉱山再稼働に伴う休車機のオーバーホール需要などから、新車・部品サービスともに堅調に推移した。

 この結果、2021年度における売上収益は、コンストラクション・マイニング製品の新車販売と、部品サービスを中心とするバリューチェーン事業で増加し、為替影響等も加わって、 9,338億6千4百万円(同27.2%)となった。

 調整後営業利益は、売上収益の増加や第2四半期に計上した米州向けの販売価格決定による調整額、生産稼働率向上による損益改善、為替影響等により、859億4千1百万円(同233.1%)と 大幅な増益となった。

②ソリューションビジネス

 同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されている。

 2021年度の売上収益は、マイニングの市場環境が堅調に推移し、為替影響等が加わって 948億2千2百万円(同15.0%)となった。

 調整後営業利益は、鋼材価格を中心としたコスト 増加の影響を受けたものの、売上収益の増加と為替影響等により75億7千7百万円(同9.6%)となった。

  なお、上記、①、②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。

■経営成績の概況

 日立建機グループは、2017年度から注力してきたバリューチェーン事業をさらに強化するため、 2020年度から進めている現中期経営計画「Realizing Tomorrow’s Opportunities 2022」でも、顧客とのあらゆる接点において、最先端のデジタル技術を活用することで、さらに深化したソリューションを提供すると共に、変化に強い企業体質への転換に取り組んでいる。

 また、ディア アンド カンパニー(以下、ディア社)との合弁事業解消に伴い、2022年3月 から、北中南米事業の独自展開を本格的に開始している。世界最大規模の北中南米市場全域 でこれまで注力してきたバリューチェーン事業や深化したソリューションを提供し、グローバル に主体的に事業を展開する体制を整え、企業価値のさらなる向上をめざしている。

 2021年度(2021年4月~2022年3月)については、一部地域で新型コロナウイ ルス変異株の感染拡大による行動制約などの影響を受けたものの、市場環境は中国以外の主要地域において堅調に推移した。

■今後の見通し

 2023年3月期(2022年度)の油圧ショベル需要について、北米・アジア・日本・オセアニアといった地域では昨年度の勢いを維持するものの、市況の低迷が続く中国や、ロシア・ウクライナ情 勢の影響を受けるロシアCISで大幅に減少し、欧州にも少なからず影響があると見込んでいること から、世界全体では約22.4万台(前年度比△8%)になるものと想定している。

 マイニング製品の需要について、ロシア以外の主要地域で、ロシア産資源の急減による反動や高水準を維持する資源価格を背景に、引き続き堅調に推移すると見込んでいる。一方で、ロシアではロシア・ウクライナ情勢の影響を受け大幅な需要減が見込まれるため、世界全体では前年度比△5%になるものと想定している。

 なお、日立建機のロシアにおける事業については、当面の間、ロシアCISの地域統括会社である日立建機ユーラシアLLC(製造・販売子会社)の生産及び日本からロシアへの輸出を順次停止することとしている。

 以上の状況に加え、長期化している半導体等の調達リスクや鋼材価格を中心としたコスト増加 の影響等を慎重に考慮し、現時点では2023年3月期連結業績予想(2022年4月~2023年3月)は、下記のとおりとした。

 売上高9,600億円(前期比6.3減)調整後営業利益800億円(同14.5減)、税引前当期利益740億円(同33.3減)、親会社株主に帰属する当期純利益450億円(同40.7%減)。

 なお、業績見通しの前提となる為替レートについては、米ドル120円、ユーロ130円、人民元 19円、豪ドル80円を想定している。

 日立建機の2023年3月期決算短信

 2023年3月期決算説明資料