ファナックが4月26日に発表した2022年3月期(2021年度)連結業績によると、売上高は7,330億8百万円(前期比33.0%増)、営業利益1,832億4百万円(同62.9%増)、経常利益2,133億95百万円(同65.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,552億73百万円(同65.2%増)となった。
2021年度における取り巻く状況は、製造業全般において新型コロナウイルス感染症の影響等で減少していた設備投資が回復し活発に行われるようになった。しかし、世界的なサプライチェーンにおける半導体等の部品の不足による生産活動への影響が長期化する等、先行き不透明な状況が続いた。ファナックグループは、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先としつつ、顧客への商品の供給とサービス活動の継続に努めてきた。特に半導体をはじめとする部品不足については、代替品の採用、設計変更などあらゆる対策を行い、影響を最小限にとどめるべく、会社の総力を挙げて対処した。
また、こうした厳しい状況の中でも、新商品、新機能の開発や工場の生産能力増強など、将来の発展に向けた取り組みを進めた。加えて、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がっている中、グローバルに事業を展開しているファナックグループにとっても気候変動は重要な経営課題であると認識しており、2050年までにグループの事業活動に伴う温室効果ガス排出量をゼロにするという長期目標と、2030年までに同排出量を42%削減する(2020年比) という中期目標を定めた。
これらの目標達成に向けて、自社における太陽光パネルの設置や工場などでの省エネルギーの取り組みを推進するほか、商品の一層の省エネルギー化に向けた取り組みも推進する。
2021年度においては、高い加工性能と稼働率に加え、使い易さを追求したワイ
ヤ放電加工機「ファナック ロボカットα-CiCシリーズ」が「2021年日刊工業新聞十大新製品賞本賞」を受賞した。また、「安全性」「使いやすさ」「高信頼性」の全てを兼ね備えた協働ロボット「ファナックロボット CRX-10iA」が一 般社団法人科学技術と経済の会が主催する「第10回技術経営・イノベーション大 賞」において、「科学技術と経済の会会長賞」を受賞した。加えて、業界最大 の21.5インチの表示装置で、動作条件設定、成形プロセス表示、周辺機器情報な どの画面を二つ同時に表示可能な「ファナック ロボショット α-SiBシリーズ搭 載表示装置PANEL iH Pro」が「第51回機械工業デザイン賞IDEA 日本産業機械工業会賞」を受賞した。
■部門別の状況
<FA部門>
FA部門については、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、堅調だった中国に加え、欧米、アジア、日本と世界規模で増加し、工作機械向けのファナックのCNCシステムの売上も併せて増加した。また、2022年2月にCNCの累計生産台数は500万台に達した。レーザについては、中国市場および欧州市場で回復基調にあるが、海外メーカとの厳しい競争が継続している。
FA部門の連結売上高は、2,261億65百万円(前期比51.5%増)、全連結売上高に対する構成比は30.9%となった。
<ロボット部門>
ロボット部門については、中国でIT関連、EV、重機、建機向けを中心に好調に推移し、米国でも一般産業向けおよびEV関連の需要を取り込んだ自動車産業向けが堅調で、欧州でも一般産業向けが好調に推移した。国内でも需要が緩やかな回復傾向にあり、前年同期に比べ売上が増加した。
ロボット部門の連結売上高は、2,684億78百万円(前期比27.8%増)、全連結売 上高に対する構成比は36.6%となった。
<ロボマシン部門>
ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)では、中国でパソコン、タブレット市場向けの需要を受け、売上が増加した。ロボショット(電動射出成形機)では、IT関連、医療市場向けの需要が好調に推移し、売上が増加した。ロボカット(ワイヤ放電加工機)では、IT関連、自動車部品市場向けの需要が好調に推移し、売上が増加した。
ロボマシン部門の連結売上高は、1,446億33百万円(前期比26.3%増)、全連結 売上高に対する構成比は19.7%となった。
<サービス部門>
サービス部門については、売上が例年並みに回復している。 サービス部門の連結売上高は、937億32百万円(前期比20.9%増)、全連結売上高に対する構成比は12.8%となった。
■今後の見通し
地政学的リスクの高まりや新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により、先 行きに不透明感があり、部品や原材料の価格および物流費の高騰の影響が見込まれるものの、FA、ロボット、ロボマシンの各部門において、様々な分野で旺盛な 需要が継続すると想定されることから、2022年度(2023年3月期)の連結業績予想を以下のとおりとした。
売上高825,500百万円(前期比12.6%増)、営業利益197,300百万円(7.7%増)、経常利益227,400百万円(6.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益166,200百万円(7.0%増)。
また、2022年4月1日から2023年3月31日までの期間における為替レートは、 平均125円/ドル、135円/ユーロを想定している。
コメントを投稿するにはログインしてください。