竹内製作所、22年2月期売上は25.5%増の1,408億円、過去最高を記録、中計で2,400億円目指す

・次期見通しは10.2%増の1,553億円

・3か年の中計で売上2,400億円、営業利益240億円目指す

 ㈱竹内製作所が4月12日に発表した2022年2月期(2021年3月~2022年2月)連結業績によると、売上高は過去最高の1,408億9千2百万円(前年度比25.5%増)となり、各段階の利益もそれぞれ過去最高となった。製造コストの上昇及び運搬費の増加等の減益要 因はあったものの、売上増及び製品価格の値上げ等により、営業利益は177億6千4百万円(同34.5%増)、経常利益は180億8千万円(同36.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用を47億3 千2百万円計上したため、133億4千8百万円(同36.7%増)となった。また、2022年度(2023年2月期)を初年度とした3ヶ年の第三次中期経営計画を策定した。

 竹内製作所2022年2月期データ

経営成績等の概況

 主力市場である米国及び欧州の当年度(2021年3月〜2022年2月)の経済は、概ね以下のとおり推移した。

 米国では、新型コロナウイルス対策として政府により実施された現金給付やワ クチン接種の進展を背景として、個人消費が引き続き増加した。住宅市場は、ウッドショックや人手不足が住宅工事に影響を与えているものの、住宅需要そのものは力強さを維持した。設備投資も、規制措置の緩和や経済対策が追い風となり、堅調に推移した。

 欧州では、ワクチン接種の進展と好調な企業業績を背景として、個人消費、設備投資ともに正常化に向かっていたが、オミクロン株の出現により経済活動の制限を余儀なくされた国では、個人消費を中心に景気回復に影を落とした。

 世界各国は、感染者数のピークアウトや重症化率の低さを理由に行動制限の緩和に動き出すなど、不確実ながらも新型コロナウイルスとの共生に向けて多くの主要国が舵を切ろうとした矢先に、ロシアがウクライナに侵攻したことで世界情勢は一転し、先行き不透明感は再び深まった。

 このような環境下にあっても、欧米では水道管やガス管等の生活インフラの公共事業が引き続き活況で、特に米国では新築・増改築や庭整備等の住宅関連工事が各地で盛んに行われており、製品需要は好調に推移した。

 また、 竹内製作所は、2021年2月にはミニショベル「TB325R」を、2021年7月にはリチウムイオン電池式ミニショベル 「TB20e」を市場投入するなど、より地球環境に優しい製品を加えた豊富なラインナップで積極的な販売活動を展開した。この結果、ミニショベル、油圧ショベル及びクローラーローダーの当年度の販売台数は、新型コロ ナウイルスの影響で販売が後退した前連結会計年度に比べて、大きく増加した。

セグメント別の経営成績

(日本) 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。新型コロナ ウイルスの影響で販売が後退した前年度に比べて、生活インフラ等の公共工事での需要を中心に、欧州ディ ストリビューター向けのミニショベル及び油圧ショベルの販売台数は大きく増加し、売上高は489億8千1百万円(前年度比10.0%増)となった。

 セグメント利益は、製造コストの上昇、運搬費及び製品保証引当金繰入額 の増加等の減益要因はあったものの、売上高の増加及び製品販売価格を引き上げたこと等により、124億4千9百万円 (同57.0%増)となった。

(米国) 生活インフラ等の公共工事での製品需要の回復のほか、米国各地で新築、増改築、庭整備といった住宅関連工事が 盛んに行われており、コロナ禍の長期化による郊外での住宅需要の高まりと合わせて、好調な販売状況が続いている。港湾での物流混雑と陸上でのトラック不足の影響を受け続けたものの、新型コロナウイルスの影響で販売が後退した前年度に比べて、米国でのミニショベル、油圧ショベル及びクローラーローダーの販売台数は大きく増加し、売上高は687億1千2百万円(前年度比31.5%増)となった。

 セグメント利益は、売上高の増加及び製品販売価格の値上げ等により、63億4千5百万円(同40.2%増)となった。

(英国) 新型コロナウイルスの影響で販売が後退した前年度に比べて、生活インフラ等の公共工事での需要を中心に、英国でのミニショベル及び油圧ショベルの販売台数は大きく増加した。円安による追い風もあり、売上高は 139億2千3百万円(前年度比63.7%増)となった。

 セグメント利益は、売上高の増加及び製品販売価格の値上げ等により、12億5千6百万円(同91.3%増)となった。

(フランス) 新型コロナウイルスの影響で販売が後退した前年度に比べて、生活インフラ等の公共工事での需要を中心 に、フランスでのミニショベル及び油圧ショベルの販売台数は大きく増加した。円安による追い風もあり、売上高は92億7百万円(前年度比33.2%増)となった。

 セグメント利益は、売上高の増加及び製品販売価格の値上げ等により、6億2千3百万円(同41.3%増)となった。

(中国) 日本セグメントでの建設機械の増産により、日本セグメント向けの部品販売が増加した。この結果、売上高は 6千6百万円(前年度比31.2%増)となり、セグメント利益は8千5百万円(前年度は2億1千万円 のセグメント損失)となった。

 竹内製作所グループは、第三次中期経営計画(2023年2月期~2025年2月期)を策定し、2022年3月よりスタートした (注)。その初年度となる2023年2月期の連結業績は、下記のとおりとなる見通し。

 新型コロナウイルスの出口戦略やロシアによるウクライナ侵攻など、世界経済の先行きは不透明感が増す一方で、 竹内製作所グループが事業を展開する小型建設機械市場は活況を呈しており、今後も継続的に拡大すると考えている。

 主力市場は米国及び欧州であり、欧米各国における住宅関連工事、生活インフラ整備工事、官民の建設投資に竹内製作所製品は使用されている。欧米両地域に共通して、新型コロナウイルスの感染拡大によりリモートワ ークの有効性が認知され、都市部のみならず郊外でも住宅需要が高まっていること、上下水道、ガス管、道路等の生活インフラの老朽化が進行し、メンテナンス工事が不可欠であること、及びコロナ禍で低迷していた企業業績が好転 し、建設投資が拡大基調にあること等により、当年度における受注高は2,298億円となった。

 この旺盛な製品需要は、欧米ともに継続すると予想したものの、2022年内に稼働開始予定の米国工場を含めたグループの生産能力、及び買入部品の調達状況等を勘案した結果、次期の販売台数は当年度に比べて3.6%増加にとどまり、連結売上高は10.2%増加の1,553億円となる見通し。

 利益面については、営業利益は127億円(当年度比28.5%減)、経常利益は128億円(同29.2%減)、 親会社株主に帰属する当期純利益は95億円(同28.8%減)となる見通し。これは、販売価格の値上げ、販売台数 の増加、及び前提為替レートを円安に設定したことによる増益を見込んだものの、鋼材を主とした原材料コストの増加で約56億円、欧米向けの海上運賃の急騰による運搬費の増加で約60億円と、コスト増を当期以上に見込んだこと、 及び米国工場の減価償却費や労務費を新たに見込んだこと等によるもの。

■第三次中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定

 同社グループが提供する小型建設機械は、住宅関連工事、生活インフラ整備、官民の建設投資、また時として災害復旧工事において、人々の毎日の暮らしを支え続けている。同社製品は「衣食住」の「住」に深く関わり、社会インフラを支えるエッセンシャル事業に必要不可欠であり、コロナ禍においてもエンドユーザーのビジネスは好調を維持し、製品需要がコロナ前より強くなっているという事実は、B to B事業を営む同社グループにとって、大きな意味を持つ。

 第二次中期経営計画(2019年度~2021年度)は、質的・量的に安定調達できる購買体制の構築、及び生産能力の強化に取り組んだ結果、中期経営計画期間内の生産台数は約30%増加した。開発面では同社初となる電池式ミニショベルを2021年7月に上市し、販売面では米国トレーニングセンター及び欧州パーツセンターを開設し、アフターサービスの強化に取り組んだ。

 その結果、北米ではクローラーローダー、欧州ではミニショベルを中心とした製品 の販売増加に加え、アフターパーツの販売も順調に拡大した。今後さらに事業を発展させるためには、旺盛な製品需要に応えるための生産能力の増強、及びサステナビリティ経営の強化を重要 な経営課題として認識している。

 第三次中期経営計画(2022年度~2024 年度)では、2022年度から2023年度にかけては、新たに稼働開始を予定する日本及び米国の新工場の立ち上げ等に注力し、最終年度となる2024年度には、連結売上高2,400億円の達成にチャレンジする。

 また、グループが持続的に成長していくためには、売上高や利益といった財務面だけではなく、ESG に代表される非財務面での取り組みを強化していく必要性を強く認識。社会課題の解決を経営の土台に位置づけ、ステークホル ダーの皆様と経営ビジョンを共有することにより、グループの企業価値の向上につなげていく。

 ㈱竹内製作所の2022年2月期決算短信

 決算短信参考資料

 「第三次中期経営計画(2022年度 ~ 2024年度)の策定に関するお知らせ