・“ASCENT”の製品名で4月から市場投入
・ENEOS株式会社と共同開発、プラント巡回点検防爆ロボットの活用により人に優しい安全・安心な作業環境を実現
・効率的なプラント点検とデータの有効活用、安全かつ迅速なインシデント収束に貢献
三菱重工業は4月11日、防爆性能(注1)を有するプラント巡回点検防爆ロボット「EX ROVR(エクス ローバー)」の実用化に向けた第二世代機について、ENEOSとの共同開発(注2)を完了したと発表した。EX ROVRは原子力発電所向けの遠隔保守技術をベースとして開発したものであり、防爆型式検定の合格、マニピュレーターの実装、ソフトウェアの開発、初号機での実証試験を完了して実用化を果たし、4月から“ASCENT(アセント)”の製品名で市場投入を開始する。
今回開発を完了した初号機は、2022年度よりENEOS殿のサイトにて試運用を予定しており、ロボットの長期運用や点検作業状況に関するデータの蓄積を進めていく。また、蓄積した点検データの有効活用により、異常兆候を早期に把握可能とする判定アプリ開発を進め、さらなる製品価値の向上に努める。
EX ROVRは、爆発性雰囲気となり得る状況下において昼夜を問わず点検作業を行い、作業員の安全性向上、業務効率化および設備稼働率の向上に貢献する。国際規格であるIECEx(注3)、欧州をはじめ世界で広く採用されているATEX(注4)および国内の防爆型式検定に合格済みであり、可燃性ガスのある危険場所(Zone1)において安全に使用することが可能。
また、照明付きカメラを搭載した6自由度(注5)防爆マニピュレーターの採用により、プラント内計器の複雑な配置に応じたさまざまな姿勢で近接・正対画像を撮影できるほか、ガス濃度の測定や音声の録音、熱画像の取得も可能。さらに付属のウェブアプリと組み合わせて活用することで、遠く離れた場所からでも点検スケジュールの運用管理や点検データの確認を行えるほか、プラントにおけるインシデント発生時には遠隔操作によりタイムリーな現場確認が可能で、プラント点検業務の効率化と安全かつ迅速な事態収束に貢献する。
三菱重工は、防爆ロボット技術を活用した新たなソリューション提案を通じ、可燃性ガス環境になる製油所などのプラントにおける安全性・生産性向上に貢献していく。
注1 引火性ガスが充満する環境下において、機器自体が発する電気火花や熱などによる爆発や火災の危険性を抑える性能を指します。
注 2 プラント巡回点検防爆ロボット第二世代機に関する当社とENEOS株式会社の共同開発について、詳しくは以下のプレスリリースをご参照ください。
https://www.mhi.com/jp/news/20091002.html
注 3 IECExは、爆発性雰囲気下で使用する機器の認証に関する国際システムで、その品質評価規定はIEC(国際電気標準会議)が作成した規格に基づいています。
注 4 ATEX指令は、IECExをベースに、爆発性雰囲気下で使用する機器および保護システムをEU(欧州連合)市場に投入するまでに適用しなければならない安全衛生上の必須要件および適合性評価手順について定めたものです。どちらも同じ規格に沿っているため、技術的内容について基本的な違いはありません。
注 5 動きの自由度を指しており、本ロボットのマニピュレーターの先端は上下、左右、前後に動くことができ、前後に傾く、左右に首を振る、左右に傾斜する回転運動も可能です。
■三菱重工グループについて(原文ママ)
三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
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