・23年2月期予想は9.6%増の5,250億円
安川電機が4月8日に発表した2022年2月期(2021年3月1日~2022年2月28日:21年度)連結業績によると、売上収益は前期比22.9%増の4,790億82 百万円となり、年度業績として過去最高を更新した。利益面については、原材料費や物流費の高騰影響を受けた一方、 売上増加に伴う改善や経費管理の徹底などにより、営業利益は同94.5%増の528億60 百万円と前年同期に対し大きく増加した。
2022年2月期における経営環境は、コロナ禍からの正常化がグローバルに進み、製造業全般において生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が積極的に行われた。特に半導体・電子部品市場では需要が拡大を続け、自動車市場においてはEV(電気自動車)化やリチウムイオン電池関連などの設備投資が加速した。また、中国では5Gや新エネルギーなどのニューインフラ投資 が継続するなど、需要は期を通じてグローバルに高い水準で推移した。
このような環境において安川電機グループの業績は、半導体など長期化する部品の供給不足によっ て、モーションコントロールセグメントを中心に生産制約の影響を受けたものの、年間を通じて旺盛な需要を的確に捉え、前年同期に対し大幅な増収となった。
■地域別の経営環境
日 本:半導体・電子部品市場をはじめ自動車市場などで設備投資は底堅く推移し、リチウムイオン電池関連の需要も拡大した。
米 国:自動車・半導体関連の需要が高水準で継続した。また、労働力不足などを懸念した自動化投資が積極的に行われたほか、オイル・ガス関連需要が期末にかけて回復に転じるなど、総じて拡大基調となった。
欧 州:経済の正常化にともなう市況回復が続き、自動車や工作機械などを中心に市場全体で需要は伸長した。
中国:EV化の加速による自動車関連や5G・リチウムイオン電池などのニューインフラ関連の需要が好調に推移するなど、期を通じて活発な設備投資が継続した。
中国除くアジア:韓国や台湾において半導体・電子部品関連の需要が高水準で推移したことに加え、韓国ではリチウムイオン電池関連の設備投資が伸長した。
■セグメント別の状況
<モーションコントロール>
売上収益 2,272億60百万円 (前年同期比 +29.1% )、営業損益 381億61百万円 (同+55.3% )
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で 構成されている。
グローバルな設備投資が積極的に行われたことからセグメント全体の販売は好調に推移し、大幅な増収となった。利益面においては原材料費や物流費の高騰影響や、半導体などの部品の供給不足による生産制約の影響を受けたものの、売上の増加やインバータの新製品切り替え効果な どにより増益となった。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 日米・韓国などで半導体・電子部品需要が高い水準で継続した。また、中国では新エネルギー分野でのリチウムイオン電池に関する需要が加速し、スマートフォンや基地局向けなどの 5G関連需要が増加するなど、積極的な設備投資が期を通じて行われたことから、販売は総じて好調に推移した。
〔インバータ事業〕 グローバルな市況回復により設備投資が活発化し、大型空調(HVAC)・クレーン・繊維向けを中心に販売は好調に推移した。また、中国では省エネ政策にともなう需要が拡大するなど、事業全体の売上収益は増加した。
<ロボット>
売上収益 1,786億70百万円 (前年同期比 +28.1% )、営業損益 172億48百万円 (同+149.7% )
ロボットセグメントの主要市場である自動車においては、EV化がグローバルで加速し新たな生産設備の投資を拡大する動きが継続した。また、一般産業分野においてもグローバルで労働力 不足への対応や生産の高度化・自動化を目的とした投資が行われた。加えて、半導体・電子部品市場の需要拡大を背景に半導体ロボットの販売も好調に推移したことから、売上収益は大きく伸長し、営業利益は売上の増加や操業度の改善などにより大幅に増加した。
<システムエンジニアリング>
売上収益 522億65百万円 (前年同期比 +3.0% ) 、営業損益 21億26百万円 (同31億57百万円改善)
システムエンジニアリングセグメントは、産業用オートメーションドライブ事業と環境・社会システム事業とで構成されている。
売上収益は環境・社会システム事業を中心に前年同期比で増加した。営業利益は採算管理の徹底や経費抑制の継続に加え、前年度に発生した一時的な製品改修コストがなくなったことなどにより増加した。
〔産業用オートメーションドライブ事業〕 アジアなどの港湾クレーン向けやリチウムイオン電池の生産設備向けの需要が堅調であった一方、国内における鉄鋼プラント関連の売上は低調に推移した。
〔環境・社会システム事業〕 コロナ禍からの正常化により、国内の上下水道用電気システム関連および欧州の大型風力発電用電機品の販売は好調に推移した。
<その他>
売上収益 208億86百万円 (前年同期比 △10.9% )、営業損益3億84百万円 (同+27.6% )
その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されている。
売上収益は国内を中心に前年同期から減少した一方、営業利益は製品構成の改善などにより増加した。
■2023年2月期業績予想
2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の業績予想は、以下のとおりとした。
売上収益5,250億円(前期比9.6%増)、営業利益720億円(同36.2増)、税引前利益740億円(同33.6増)、親会社の所有者に帰属する当期利益525億円(同36.9増)。
取り巻く市場環境は、5GやAIの普及に伴う通信・産業の高度化を背景としたグローバルでの半導体および電子部品関連需要の増加に加え、世界的なEV化の加速による自動車およびリ チウムイオン電池関連需要が急拡大しており、主力事業であるACサーボ、ロボットを中心に 成長が継続することが予想される。
そのような中、需要動向はロシア・ウクライナ問題をはじめとする地政学リスクの高まりや、新型コロナウイルス感染拡大の長期化など不透明感はあるものの、ロボットの受注が21年度期 末にかけて海外を中心に大幅に増加したことなどを背景にグローバルで高水準に推移することを想定している。
なお、当面は昨年度に発生した半導体を中心とする部品不足により生産制約が継続 する見込み。
2022年3月1日から2023年2月28日までの期間における平均為替レートは、120.0円/米ドル、133.0 円/ユーロ、19.00円/元、0.100円/ウォンを想定している。
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