日立ハイテク、切削加工設備の剛性診断サービスを提供開始

・機差を数値化し、国内製造業のDX化に貢献

 ㈱日立ハイテクは4月5日、顧客が保有する切削加工設備(マシニングセンタ1)の工具のたわみや接続部変形を表す主軸剛性2値に着目し、機械特有のクセを数値化する設備剛性診断サービスを国内向けに提供開始すると発表した。また、剛性診断サービスに加えて、数値化したデータを利用したNC*3自動補正サービスも同時に提供開始する。これらのサービス提供を通じ、日立ハイテクは技術継承、労働力不足、生産性向上などの国内製造業における課題解決に貢献していく。

■剛性診断サービス開発の背景
 近年、少子高齢化は大きな社会問題となっている。今後も長期にわたり人口の減少が見込まれる中、経済活動の担い手である労働力人口は2013年6,577万人から2030年5,683万人、2060年には3,795万人へと加速度的に減少する傾向。また、急速な人口減少は同時に国内市場の縮小をもたらし、成長力が低下していくことが予想されている。特に、国内製造業においては、熟練者の高齢化と若手への技術継承、労働力不足、市場を見通せない中での設備投資への足踏み、また使用頻度の低下した設備の長寿命化が大きな課題となっている。
そうした中、日立ハイテクは剛性診断サービスを通じて、設備の特性や状態を測定し、可視化さる。また、測定数値に対して、㈱日立製作所研究開発グループが生みだした独自のアルゴルズム4を使用し、これまで技術者が何度も微調整しなければならなかった加工用NCデータ5の自動補正技術を開発することで、製造業における課題解決に貢献していく。

■剛性診断サービスの概要
 提供を開始する剛性診断サービスは、切削(ミーリング)加工における加工誤差の原因の6割から7割を占める工具のたわみと接続部の変形度合いに関係する主軸剛性値を診断し、その結果を顧客に提供するサービス。

 これまで熟練者の経験に基づいて設定していた剛性値を、剛性診断サービスにより測定・把握することで、顧客の加工機に合わせた最適な加工プログラムの作成に貢献する。また、測定した結果、たわみ量が大きいことが原因で加工誤差が出やすいと診断された設備に関しては、日立独自のアルゴリズムにて、顧客のNCデータをそれぞれの加工機に最適化したNCデータに自動補正するサービスも提供することで、製造業における加工精度の向上、加工条件の改善、リードタイム削減に貢献する。

 なお、日立ハイテクは2022年4月20日(水)から4月23日(土)まで、インテックス大阪(大阪府)で開催される「INTERMOLD2022/金型展2022」において、剛性診断サービスの展示を行う予定。

 日立ハイテクは、設備の有効活用や環境負荷低減につながる今回のサービスを通じて、顧客課題解決を起点とした高付加価値事業を創出し、モノづくり企業の課題解決に貢献するソリューションを提供すると同時に、今後も顧客とともに社会・環境価値の創出に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していく。

*1マシニングセンタ:自動で工具の交換を行う機能を持つ、切削加工設備
*2主軸剛性:切削加工設備の主軸のたわみを数値化した値
*3NC:(Numerical Control)数値制御により、切削加工機を自動的に制御すること。
*4詳細については、日立製作所が2018年6月18日に発表したニュースリリースを参照。
*5NCデータ:NC加工を行う際に加工機に読み込ませるデータ

 画像:切削加工設備の剛性診断サービスを提供開始

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