清水建設、タワークレーン・エレベータの稼働状況をリアルタイム監視

・デジタルの力で揚重作業を見える化・効率化

 清水建設は4月5日、タワークレーン・エレベータの揚重作業のリアルタイム監視と稼働データの収集・分析による作業効率の向上を目的に、デジタル化技術を活用した見える化システム「揚重モニタリングシステム」を開発、同社が施工中の虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(虎ノ門・麻布台プロジェクト)A街区建設所に適用したと発表した。同建設所では、現場事務所に設けたディスプレー上で、6基の大型タワークレーンと6台のエレベータの稼働状況をリアルタイムに見える化している。

 建築現場では、日々、翌日のタワークレーンとエレベータの揚重計画を策定している。揚重作業は工程を大きく左右することから、計画と作業が乖離しないようにリアルタイムに細かにフォローする必要があるが、アナログ的な管理には限界がある。揚重モニタリングシステムは、こうした課題に対応したデジタル化技術。

 このシステムは、文字データとCGでクレーンとエレベータの稼働状況を見える化する。具体的には、揚重中の資材の種類と重量、当日の既揚重回数と累計重量、揚重予定回数などの文字データ、リアルタイムのクレーンのブームの動き、エレベータの位置を示すCG画像やグラフをディスプレー上に表示する。さらには、稼働状況データを日々策定する揚重計画データに重ねることで、揚重作業の進捗状況も管理できる。このため、施工管理者は現場事務所にいる間も揚重作業の状況が手にとるようにわかる。

 システムの主な構成機器は、タワークレーンとエレベータの制御情報をサーバに送信するデータ収集装置、オペレータが揚重資材の種類を入力するタブレット。システムは、データ収集装置とタブレットから得たデータを変換してディスプレー上に表示するとともに、クラウドサーバに送信し、蓄積する。蓄積された揚重ビッグデータは、導入現場での揚重計画の改善に加え、類似現場の計画にも活用可能。

 見える化がもたらすメリットは、遠隔管理による省人化、揚重課題の早期発見・解決による工期短縮。揚重課題は、揚重した資材の種類、揚重時間、揚重工程を施工管理者がチェックすることで容易に把握できる。現場の規模が大型化するほど、稼働するタワークレーン、エレベータの台数が多くなるため、省人化効果、工期短縮効果とも大きくなる。A街区建設所では、55インチのディスプレー36体を配備した現場事務所の統合監視室「Smart Control Center」から、すべてのタワークレーン、エレベータの稼働状況を具体的なデータと映像とともにほぼリアルタイムに監視している。

 清水建設は今後、揚重モニタリングシステムを大規模現場へ水平展開するとともに、約330mに達するA街区タワービルの施工を通じ、風が超高層階の揚重作業に与える影響を収集・分析し、超高層ビル案件の揚重計画に反映していく計画。

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