・国内CDMOリーディングカンパニーとして多品種で高品質な製品を提供
住友化学は3月30日、大分工場(大分市)に低分子医薬品の原薬および中間体の製造プラントを新設すると発表した。低分子医薬品の需要の高まりに応じて、多品種で高品質な製品の供給体制を強化するもので、操業開始は2024年9月を予定している。
医薬品のうち、分子量の小さいものは低分子医薬品※1と呼ばれ、化学合成によって作られる。住友化学は、総合化学メーカーとして培ってきた高度な有機合成や工業化の技術を生かし、製薬会社から低分子医薬品の原薬および中間体の製造の受託(Contract Development and Manufacturing Organization、以下「CDMO」)を行うとともに、独自製法に基づいて原薬などの製造と販売を行っている。
CDMOの市場は世界で10兆円規模※2とされ、新薬開発の需要が旺盛なことから、今後も堅調に推移すると予想されている。このため、住友化学はCDMO事業に力を入れ、高水準な品質保証体制やグローバルなサプライチェーンマネジメントを強みに、日本のリーディングカンパニーとしての地位を築いている。
住友化学が、今回、大分工場に新設するプラントは、製薬会社からの要望に応じて、複雑な反応を含む多品種の生産が可能で、開発から商用生産まで柔軟に対応できる設備となっている。また、GMP※3と呼ばれる医薬品の製造や品質管理の基準に日米欧で適合しており、高い品質でグローバルに供給することが可能です。住友化学は、低分子医薬品の原薬および中間体を、主に岐阜プラント(岐阜県安八町)と岡山プラント(岡山県倉敷市)で生産しているが、今回の新プラント建設で、大分工場を第3の拠点と位置づけ、供給能力を増強するとともに、事業継続計画(BCP)の充実も図る。
なお、大分工場においては、21年10月、中分子医薬品に分類される核酸医薬の原薬製造プラントの新設に着手している。同工場内には子会社である大日本住友製薬※4の工場も立地しており、引き続き、住友化学グループのライフサイエンス分野の中核拠点として整備していく。
住友化学は、22~24年度の新中期経営計画において、総合化学の力を結集し、カーボンニュートラルや健康増進などの社会課題に対する広義のグリーントランスフォーメーション(GX)を推進することとしている。今回の決定により、住友化学が高品質な低分子医薬品の原薬および中間体をより多く安定的に供給することで、世界中の人々の健康的な生活の確保に貢献していく。
※1 分子量が概ね500以下のものであり、多くが経口薬として用いられている
※2 出典:Result and Healthcare(2019)
※3 Good Manufacturing Practiceの略
※4 2022年4月1日から「住友ファーマ株式会社」に名称変更