奥村組、小径用自動削孔装置を一部改良し実工事に適用

・既存RC構造物の補強工事に伴う削孔作業の自動化

 ㈱奥村組は3月29日、既存RC構造物の補強工事に用いられる、”あと施工アンカーを用いた壁等の増設工法”における削孔作業の省力化、効率化を図るために開発した小径用自動削孔装置(2020年8月発表。以下、従来装置)を、一部改良した上で実工事に初適用し、所定の性能を有することを確認したと発表した。

【概要】
 小径用自動削孔装置は、削孔径が小さく深さが浅いあと施工アンカー挿入孔(最大削孔径φ25mm程度)を対象とする自動削孔装置。従来装置は、使用する電動ハンマードリルが、削孔方向に300mm、上下方向に1,500mmの範囲で自動移動するが、左右方向については、底面にキャスターを付け、人力で移動させなければならなかった。

 そこで、従来装置に走行用モーターを搭載し、あらかじめ床に設置したレールのラックギアに沿って自走できるように改良した。これにより、削孔計画(削孔位置、削孔深さ、削孔数)に従って、削孔位置への移動から削孔までの一連の削孔作業を全て自動化させることが可能になった。

【実工事への適用】
 東京都下水道局発注の水再生センター放流渠耐震補強工事(東京都八王子市)において同装置を適用した。放流渠(ボックスカルバート)20m区間の隔壁および側壁を対象に、削孔径φ16mm、φ25mmのアンカー挿入孔を、設定した削孔計画に従い2日間で約400カ所(各径約200カ所)自動削孔し、あわせて施工データの記録も自動で行った。また、事前の鉄筋探査で把握しきれなかった鉄筋に接触した際は、制御機能が働き、自動的に削孔を中止し、次の孔へ移動して削孔を継続することも確認できた。

 今回は、20m区間を区切って性能を検証しながら施工し、その結果、実工事においても同装置が作業の省力化と効率化を実現すること、および削孔計画に求められる施工精度を確保する性能を有することが確認できた。

【今後について】
 同装置を既存RC構造物の補強工事の生産性をより一層向上させる技術として積極的に提案していく。また、アンカー削孔作業以外についても、建設現場における機械化・自動化に継続して取り組み、生産性向上を図っていく。

 詳細は、ニュースリリース