産業機械の受注見通し、2022年度は前年度比2.3%増の5兆1,492億円

 日本産業機械工業会は3月23日、2022年度の産業機械受注見通しを発表した。以下、原文。

2022年度 産業機械の受注見通し

2022年3月23日公表

一般社団法人日本産業機械工業会

 この産業機械(当工業会取扱い)の受注見通しは、2022年1月下旬~2月中旬に実施した調査をもとに策定したものである。

 よって、2月24日に、ロシアがウクライナへの軍事行動を開始し、その後発生したロシアに対する経済制裁やサプライチェーンの混乱等の不確定要素の影響を織り込んでいない。

 なお、受注見通しにおける、ロシアのウクライナ侵攻及び対露経済制裁等による影響度合いは現時点では不明であるが、影響を及ぼすと想定される事象は以下のとおり。

 下振れ要因としては、①経済制裁等によりロシアで契約を見込んでいた案件の消滅。②物流や金融の混乱に伴う出荷停止または受注キャンセルもしくは代金回収困難、産業機械の据え付け・補修・メンテナンス等の部品や人員手配困難。③ロシア等事業に対するレピュテーションリスク回避に伴う受注機会の消滅、エンドユーザが未確認である汎用機の受注見合わせ、ロシアでプラントを建設する欧州や中国EPCからのコンポーネント発注停止、産業機械と共に使用される欧州の電気機械等の輸出停止による受注消滅。④国内・海外の産業機械ユーザの生産計画の見直しによる設備投資の縮小等があげられる。

 上振れ要因としては、欧州のLNG案件やパイプライン関連の需要の増加や、天然ガス開発で既に計画されているプロジェクトの投資判断が早まり前倒し発注されるケース等、エネルギー分野での受注の増加の可能性があげられる。

<2021年度>

 内需は、民需の緩やかな回復により、対前年度比+8.9%増の3兆3,670億円と見込んだ。

 民需のうち製造業については、化学工業や鉄鋼、非鉄金属等の素材産業から、はん用・生産用機械、電気機械、情報通信機械、自動車等の組立産業まで幅広い業種の需要が回復しており、前年度実績を上回るものと見込んだ。

 非製造業については、電力業が発電設備の維持・更新とバイオマス発電設備の大口契約により前年度を底としてプラスに転じたことに加えて、運輸業や卸売・小売業の物流設備の自動化・省力化投資が堅調に推移したことから、前年度実績を上回るものと見込んだ。

 官公需については、国土強靱化に向けた洪水対策等の需要増が続いたものの、廃棄物発電等の清掃工場の大規模な改良工事の発注が減少したため、前年度実績を下回るものと見込んだ。

 外需は、先行して回復していた中国の伸張に加えて、中国を除くアジア、欧米もプラスに転じたものの、前年度に中東で天然ガスの大型プロジェクトを受注した反動減により、対前年度比△8.1%減の1兆7,821億円と見込んだ。

 中国向けについては、ボイラ・原動機、化学機械、プラスチック加工機械、ポンプ、運搬機械、製鉄機械等の幅広い機種で増加しており、当工業会の自主統計の過去最高金額(2018年度2,793億円)を上回るものと見込んだ。

 この結果、内外総合では、対前年度比+2.3%増の5兆1,492億円と見込んだ。

<2022年度>

 内需は、民需の減少を官公需が補う形となり、受注金額としてはほぼ前年度並みの対前年度比+0.8%増の3兆3,931億円と見込んだ。

 民需は、自動車産業や半導体関連、その上流となる素材産業などの製造業を中心とした省エネ化・高効率化対応や、物流拠点の自動化・省力化に向けた搬送システム等の需要が増加するものの、電力業からの石炭火力の休止・廃止に伴うリプレース縮小や大型バイオマス発電設備の新規案件の減少により、前年度実績を下回るものと見込んだ。

 官公需は、国土強靱化に向けた洪水対策等が堅調に推移し、下水汚泥の燃料化等の高効率処理への対応、清掃工場の改良工事の増加により、前年度実績を上回るものと見込んだ。

 外需は、各国のポストコロナの成長戦略の加速等により、世界経済の回復が続く中、アジアや中東、欧米等での産業機械の受注が増加し、対前年度比+14.9%増の2兆481億円と見込んだ。

 世界規模での石炭火力の段階的削減がCOP26で表明される中、老朽火力発電設備の更新需要が縮小するものの、全世界的に普及が加速している電気自動車のバッテリーやセンサー等の生産能力の増強の他、世界的な半導体関連産業の工場新設、上下水処理や海水淡水化の民営化案件等の水インフラプロジェクトの増加、クリーンエネルギーとして条件付きでカテゴライズされた天然ガス開発の再開等により、前年度を上回るものと見込んだ。

 この結果、内外総合では、対前年度比+5.7%増の5兆4,412億円と見込んだ。

 詳細は、ニュースリリース