・放射性廃棄物の削減を実現
㈱日立プラントコンストラクションは2月28日、中部電力と共同で、日本国内における原子力発電所の廃止措置における放射性廃棄物の削減を進めることを目的に、表面に汚染部位を有する放射性廃棄物から、汚染された表面部分を分離する切削分離工法と分離装置を開発したと発表した。日立プラントコンストラクションは、同工法を用いて中部電力浜岡原子力発電所で鋼板の汚染部位分離の作業を開始している。両社は今後、増加が予想される原子力発電所の解体案件に同分離装置を活用していく。
■開発の背景
日本では現在、18基の実用発電用原子炉が廃止措置計画認可を受けて廃止措置中。廃止措置に伴って発生する解体廃棄物のうち、約2%※1が低レベル放射性廃棄物として発生する。これら低レベル放射性廃棄物のうち表面のみが汚染された金属部材については、表面の汚染を分離できれば、放射性廃棄物の量を減らすことができる。しかし、従来の一般的な工法では、削り取った後の部材を工具や切削屑で再汚染させてしまうという課題があった。
※1 日本原子力文化財団(JAERO)HPより引用(原子力安全・保安院(当時))
■分離工法の概要
このような課題に対応するため、本工法では、切削刃の汚染部位が、切削完了面に触れないように、対象物の汚染された表面部位を刃の側面で切削する方法を選定した。また、切削方向の調整や、保護カバーの取り付け、圧縮空気の吹き付けにより、切削屑の切削完了面への接触を防止した。これにより、対象物を再汚染させることなく汚染を分離することを可能としている。例えば、鋼材の表面を2mm分離した場合、同社試算では約91%の放射性廃棄物量を減らす事が可能となる。
なお、今回開発した切削分離工法は、中部電力と共同で実証実験を行い、開発したもの。両社は、同工法に関する特許を出願中。
■日立プラントコンストラクションについて
日立プラントコンストラクションは、発電所や受変電設備、交通設備や工場施設などの社会インフラ設備の建設およびメンテナンスを通じ、社会・産業の発展を支える基盤づくりが主な事業領域となっている。この事業領域では、日立プラントコンストラクションの提供するシステム、サービスにより、社会の中で活動する人々が常に「安心と安全」を享受出来るインフラの構築を追及している。2020年度売上高は700億円、従業員1,517名(2021年3月末時点)を擁している。
画像:分離装置の切削分離部分離装置の切削分離部
コメントを投稿するにはログインしてください。