三菱商事は2月14日、フィリピン共和国運輸省(以下、DOTr)より、マニラ首都圏地下鉄向け鉄道システム一式を受注したと発表した。
同プロジェクトでは、日本政府により国際協力機構(JICA)を通じて本邦技術活用条件(Special Terms for Economic Partnership:STEP)を適用した円借款が供与されている。
三菱商事は、マニラ首都圏の北部ヴァレンズエラ市と南部パラニャケ市を結ぶフィリピン初となる地下鉄向けに鉄道システム一式(軌道、信号・通信設備、受配電設備、電車線、自動改札機、ホームドア等)を設計・製造・据付し、DOTrに納入する。受注金額は約1,400億円で、完成は2028年頃を見込んでいる。
事業は、急速な経済成長を背景に増加するマニラ首都圏の交通需要への対応を図ると共に、深刻な交通渋滞と大気汚染の緩和に資するもので、フィリピン政府によるインフラ計画「ビルド・ビルド・ビルド」の優先事業と位置付けられている。三菱商事が受注した鉄道システムは、イーストバレンズエラ駅からターミナル3駅までの15駅27㎞、加えて別途借款を活用して整備されるビクタン駅迄の整備を対象としており、同地下鉄の開通によって、従来、自動車で必要だった移動時間から1時間以上短縮される見込み。
フィリピンでは、今後も既存路線の延伸や新線の建設が多数計画されている。三菱商事は、世界各国で培ってきた鉄道事業のノウハウを活用することで、フィリピンにおける交通 インフラの整備に寄与し、人々の移動における利便性の向上を通じて、経済発展を続けているフィリピンに貢献していく。また、日本政府が推進する質の高いインフラシステム輸出を後押しし、鉄道インフラ案件に積極的に取組むことで、地域の利便性の向上や、渋滞等の地域課題への対応と解決策の提供を目指す。