井関農機、2021年売上は6.0%増の1,581億円、22年予想は5.3%増の1,665億円

 井関農機が2月15日に発表した2021年12月期(1~12月)連結業績によると、売上高は、前期比8,887百万円増加し、158,192百万円(前期比6.0%増加)となった。営業利益は、増収による売上総利益の増加に加え、前期に計上があった部品在庫評価損の剥落などもあり、前期比2,063百万円増加の4,147百万円(前期比99.0%増加)となった。経常利益は、為替差損益の好転や持分法投資損失の縮小に加え、受取和解金の計上等により、前期比2,984百万円増加の4,687百万円(前期比175.3%増加税金等調整前当期純利益は、前期に計上があった固定資産の減損損失の減少などにより、4,366百万円(前期は税金等調整前当期純損失7,114百万円)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、3,196百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失5,641百万円)となった。

 売上高のうち、国内においては、消費増税反動減からの回復や経営継続補助金などに伴う需要喚起もあり農機製品及び作業機が増加したほか、修理整備等のメンテナンス収入が堅調に推移し、国内売上高は前期比1,489百万円増加の117,396百万円(前期比1.3%増加)となった。海外においては、ライフスタイルの変化に伴い、北米では好調なコンパクトトラクタ市場を背景に増加、欧州ではコンシューマー向けを中心に販売が伸長、為替円安影響もあり、両地域で増収となった。また、アジアでは前期末にタイの販売代理店を連結子会社化したことや、中国向け生産用部品の出荷増などにより、海外売上高は前期比7,398百万円増加の40,795百万円(前期比22.2%増加)となった。

 1~12月期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大影響から、政府の緊急事態宣言再発出や、まん延防止等重点措置を受けた経済活動の自粛など厳しい状況が続いた。また、個人消費や企業収益などで一部持ち直しの動きも見られた一方で、変異株による新たな感染拡大など先行き不透明な状況が続いた。海外では、同感染症の感染拡大防止に向けたワクチン接種の進展に伴い、一部で持ち直しの動きが見られたものの、変異株による新たな感染拡大やサプライチェーンの混乱などにより、先行き不透明感が残った。

 このような状況の中、井関農機グループは、国内においては顧客対応の充実など農業構造変化への対応強化、海外においては主力市場である北米、欧州、アジアでの販売強化に努めた結果、連結経営成績は以下のとおりとなった。

 井関農機2021年12月期データ

■商品別の売上状況

〔国内〕

 整地用機械(トラクタ、乗用管理機など)は23,937百万円(前期比4.6%増加)、栽培用機械(田植機、野菜移植機)は9,076百万円(前期比2.3%増加)、収穫調製用機械(コンバインなど)は16,642百万円(前期比1.4%減少)、作業機・補修用部品・修理収入は43,358百万円(前期比3.2%増加)、その他農業関連(施設工事など)は24,382百万円(前期比3.5%減少)となった。

〔海外〕

 整地用機械(トラクタなど)は30,820百万円(前期比24.9%増加)、栽培用機械(田植機など)は2,225百万円(前期比30.8%増加)、収穫調製用機械(コンバインなど)は2,347百万円(前期比1.8%増加)、作業機・補修用部品・修理収入は3,660百万円(前期比13.7%増加)、その他農業関連は1,741百万円(前期比15.9%増加)となった。

■今後の見通し

 2022年12月期の業績予想は、売上高1,665億円(前期比5.3%増)、営業利益47億円(同13.3%増)、経常利益46億円(同1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益31億円(同3.0%減)。

 次期の井関農機グループを取り巻く環境は、国内外ともに新型コロナウイルス感染症は依然残るものの、オミクロン型変異株は上期中には収束に向かい、社会活動や経済活動も緩やかに回復していくものと仮定している。また、井関農機グループの販売面における影響は限定的も、サプライチェーンの混乱や生産遅延などのリスクは残るものと考えている。

 そのような中で、売上面では、国内は、米価下落に伴う農業生産者所得の減少による農機需要への影響等も懸念され、市場は弱含みで推移するものと見ており、農業の構造変化に対応した大型機械、スマート農機に加え、サービス・サポート対応の推進強化と、堅調な部品・修理収入により増収を見込んでいる。海外は、北米、欧州におけるライフスタイルの変化に伴う需要拡大の継続などにより、増収を見込んでいる。

 収益面では、原材料価格高騰に伴う収益圧迫はあるものの、増収による売上総利益の増加に加え、構造改革と経営効率化の更なる取り組みにより、増益を見込んでいる。

 井関農機の2021年12月期決算短信

 2021年12月期決算補足説明資料