日精エー・エス・ビー機械が2月9日に発表した2022年9月期第1四半期(2021年10~12月)連結業績によると、売上高は6,847百万円(前年同期比86.8%)となった。利益面については、主に減収による影響で、営業利益は1,153百万 円(同60.1%)、経常利益は1,545百万円(同90.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益も1,125百万円(同87.5%)と減益となった。
販売成績については、生活必需品容器を中心とした引き合いは底堅いものがあるものの、直近ではコロナ変異株の拡大やサプライチェーンの混乱等の経済への影響により、受注高は7,087百万円(前年同期比 65.2%)、受注残高は12,540百万円(前年同期末比68.1%)と前年同期を下回った。
10~12月の世界経済は、各国の経済対策効果やワクチン接種の進展により景気回復の動きが見られる一方、資源高やサプライチェーの混乱に加え、新型コロナウイルスの 新たな変異株の拡大懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続いている。
一方で、同社グループの属するストレッチブロー成形機業界においては、コロナ禍での経済活動縮小による 一部顧客の設備投資意欲の減退など、事業活動への一時的なマイナス影響はあるものの、安全で衛生的なプラスチ ック容器の需要は底堅いものがあり、今後も堅調に推移すると思われる。
こうした環境下、同社グループは「人と社会に豊かさを提供する」「高い技術、サービスで恒久的な存続を追求 する」との経営理念に基づき、中長期的な成長発展方針を継続し、事業規模の拡大を見据えた各種戦略的施策の展開に注力した。
技術面では、同社の得意領域である、高品質・高付加価値生産が特徴のワンステップ成形機の優位性を高める 「ゼロ・クーリングシステム」の更なる進化を図り、製品競争力の向上に努めた。また、大量生産機のシェア 拡大や、環境問題を含む幅広い用途への利用を企図して、高品質・高付加価値な新型機群の開発を強化している。
販売面では、主力のワンステップ成形機を中心に競争力強化による市場喚起を行っている。また、高品質な 飲料系ボトルの大量生産を得意とする1.5ステップの大型機「PF36シリーズ」が継続して受注を獲得するなど、顧 客と市場の幅を着実に広げている。
生産面では、グローバル生産体制の最適化を図るため、増産対応とリスク分散を進めている。具体的には、 インド工場での成形機等の生産能力増強と納期短縮を図るべく、工作機械等への設備投資を継続しておいる。ま た、日本国内においては、将来の事業拡大に備え、本社工場近隣への新たな工場用地の取得を進めている。
環境対応技術では、「3R+Renewable」への取り組みを継続し、「材料使用量の削減」、「PETボトルリユースの 提案」、「リサイクル材料の使用促進」、「バイオプラスチックのボトル成形」などのソリューションを提供することで、環境配慮型の技術提案を強化している。なお、リサイクル材料を使った二層成形法には国内外からの 多くの引き合いを受けており、市場萌芽に向けた技術革新を今後も続けていく。
<製品別の売上高状況>
製品別の売上高状況については、コロナ禍での不透明な景況感の影響を受け、ストレッチブロー成形機が 3,442百万円(前年同期比78.9%)と好調だった前年同期と比べ大きく減少したものの、金型については 2,102百万円(同95.5%)と5四半期連続で20億円台をキープし、比較的堅調に推移している。また、付属機器は成形機に連動して456百万円(同93.6%)と減少したものの、部品その他は845百万円(同101.3%)と堅調に推 移しており、多種多様な容器需要を取り込む同社のビジネスモデルの底堅さを示している。
<セグメント(地域)別売上高状況>
①米州
好調な米国経済のもと、生活必需品等の容器需要の引き合いは北米を中心に依然として底堅いものがあるものの、サプライチェーンの混乱等の影響により、足元の受注環境には停滞感が見られる。それを受け、地域全体 の売上高は2,055百万円(前年同期比76.6%)と減収となり、セグメント利益も売上規模の減少等により197百万 円(同37.1%)と減益となった。
②欧州
コロナ変異株の拡大により社会活動への影響が色濃く残る中、足元の受注環境には改善の兆しが見られるものの、売上高は前期の受注低迷が響き、1,119百万円(前年同期比66.6%)と減収となりました。セグメント利益も売上規模の減少等により95百万円(同43.9%)と減益となった。
③南・西アジア
コロナ禍による影響は域内の新興国に色濃く残るものの、インドを中心に中小型機の引き合いには底堅いものがあり、地域全体の売上高は2,585百万円(前年同期比104.6%)と増収となった。一方、セグメント利益は インドにおける継続的な設備投資の影響等により236百万円(同70.8%)と減益となった。
④東アジア
コロナ禍での不透明な景況感の影響を受け、各国市場の引き合いは弱含んでいるものの、受注残高の円滑な消化に努めた結果、地域全体の売上高は1,087百万円(前年同期比103.4%)と増収となった。一方、セグメン ト利益はグループ会社向けの売上減少の影響等により1,418百万円(同90.0%)と減益となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2022年9月期の連結業績予想については、下記のとおり2021年11月10日公表の予想に変更はない。
売上高300億円(前期比16.4%減)、営業利益54億円(同38.2%減)、経常利益55億円(同42.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益38億円(同43.1%減)。
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