加藤製作所、21年4~12月期売上は11.9%増の437億円、通期予想は変更せず

・タイ生産子会社は解散し清算

 ㈱加藤製作所が2月10日に発表した2022年3月期第3四半期(2021年1〜12月)連結業績によると、 売上高は437億7千万円(前年同期比111.9%)となった。損益については、連結子会社である加藤(中国)工程机械有限公司において、貸倒引当金繰入額48億円を計上した結果、営業損失58億5百万円(前年同期は営業損失22億6千1百万円)となり、経常損失57億3千6百万円(前年同期は経常損失19 億8千8百万円)となった。また、経営資源の効率的活用と財務体質の強化を図ることを目的に、保有する駐車場用地3件を売却し、固定資産売却益13億7千4百万円を計上したが、親会社株主に帰属する四半期純損失は46億9千8百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失23億2千万円)と厳しい状況となった。

 4~12月期における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により厳しい状況で推移しており、国内の建設機械投資は横ばいの状態が継続しているが、輸出は、海外経済の改善もあり、コロナショックを受けた前年の大幅な需要減から持ち直しの動きが続いている。海外について需要は回復基調だが、中国においては、昨今の景気後退に伴い建設機械の稼働率 が大幅に低下し、需要は減少している。

 加藤製作所は業績及び財務状況の改善の施策に取り組んでおり、売上債権管理の厳格化に伴い、連結子会社である加藤 (中国)工程机械有限公司の一部取引先の債権について精査を行った結果、回収可能性の低い多額の債権があることが判明した。当該取引先に対する信用低下並びに債権回収に向けての不確実性がさらに高まったとの総 合的な判断により、貸倒引当金を追加計上することにした。

 このような状況下、加藤製作所グループは、収益拡大・コスト削減・運転資本の改善を目的として2021年4月に「KATO Reborn Project」を立ち上げ、設計変更によるコストダウン・工場管理費及び外注費の削減・採算管理の徹底による利益率の向上・在庫削減を推進している。効果発現には時間を要すものも多く、さらに鋼材価格や物流費の高騰もあり、依然として厳しい業績となっているが、各施策を遅滞なく推進し、早期業績回復に努めるとともに、再成長に向けた中長期的な経営計画の作成も進めている。

 加藤製作所2022年3月期第3四半期データ

セグメント別の状況

<日本>

 国内向け建設用クレーンは、前年度のコロナショックによる需要減から回復傾向にある中、新型車などの効果 もあり、販売が増加した結果、売上高は203億1千9百万円(前年同期比106.0%)となった。海外向け建設用 クレーンは、アジア・大洋州で増加し、売上高は38億3千8百万円(前年同期比129.2%)となった。

 国内向け油圧ショベル等は、公共工事・民間工事の回復から需要は堅調に推移し、売上高は88億4千1百万円 (前年同期比118.0%)となった。海外向け油圧ショベル等は、北米向けが増加し、売上高は41億6千1百万円 (前年同期比130.3%)となった。

 日本の売上高は378億5千1百万円(前年同期比111.8%)となり、セグメント損失は12億2千7百万円(前年同期はセ グメント損失21億7千3百万円)となった。

<中国>

 中国は、インフラ投資の鈍化や中国メーカーのシェア拡大を背景に厳しい販売環境が続いている。 中国の売上高は42億8千1百万円(前年同期比82.6%)となり、セグメント損失は貸倒引当金繰入額48億円を計上した結果、47億5千6百万円(前年同はセグメント利益2億1百万円)となった。

<その他>

 その他地域においては、クレーン・ショベルともに販売台数が増加した。 その他の売上高は38億1千1百万円(前年同期比197.7%)となり、セグメント損失は7千9百万円(前年同期はセグメント損失5億2千万円)となった。

主要品目別状況

<建設用クレーン>

 国内は、新型車などの効果もあり、売上高は203億1千9百万円(前年同期比106.0%)となった。海外は、ア ジア・大洋州向けを中心に販売が増加し、売上高は44億5千4百万円(前年同期比146.2%)となった。よって、 建設用クレーンの売上高は247億7千4百万円(前年同期比111.5%)となった。

<油圧ショベル等>

 国内は、公共工事・民間工事の回復から需要が堅調に推移し、売上高は88億4千1百万円(前年同期比118.0%)となった。海外は、北米・欧州の売上が増加し、売上高は94億6千4百万円(前年同期比112.8%)となった。よって、油圧ショベル等の売上高は183億5百万円(前年同期比115.3%)となった。

<その他>

 その他の売上高は6億9千万円(前年同期比67.7%)となった。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2022年3月期の連結業績予想については、連結子会社である加藤(中国)工程机械有限公司において貸倒引当金繰入額48億円を販売費及び一般管理費に計上したことから、4~12月期における各利益の進捗は計画を下回っているが、重要な後発事象に記載したKATO WORKS (THAILAND) CO.,LTD.の解散及び清算、並びに希望退職者の募集に係る影響額を現時点で合理的に算定することが困難であるため、下記の2021年8月6日に公表した連結業績予想を変更していない。

 2022年3月期連結業績予想は、売上高は前期比12.3%増の657億円、営業利益△26億円、経常利益△29億円、親会社株主に帰属する当期純利益△31億円。

 今後、業績予想の修正の開示が可能となった時点で速やかに公表する。

■連結子会社の解散及び清算

 2022年2月10日開催の取締役会において、連結子会社であるKATO WORKS (THAILAND) CO.,LTD.を解散及び清算することを決議した。

 解散の理由:

 KATO WORKS (THAILAND) CO., LTD.は、2014年9月9日タイ王国に設立し、トラッククレーン及びラフテレーンクレーンの製造・販売をしてきた。しかしながら、2020年9月11日『タイ工場KATO WORKS (THAILAND) CO.,LTD.の生産の一時停止について』にて開示していたとおり、経済環境や事業環境の変化により在庫車が拡大したため、生産を中止し、販売活動に注力し、生産再開に向けた業務改善に努めてきたが、現在の市場環境では収益の確保が難しく、事業の継続が困難と判断し、解散及び清算を決定した。

 加藤製作所の2022年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料