・自社で“水素製造から発電までの技術を一貫して検証”できる体制を構築
・2025年の水素ガスタービン商用化に向け、既存実証拠点に水素製造・貯蔵設備を追設
・自社設備での着実な実証を通じて製品の信頼性を向上、大型のJAC形および中小型のH-25形で検証
三菱重工業は2月14日、水素を燃料とする水素ガスタービンの早期商用化に向け、開発・製造拠点を置く高砂製作所(兵庫県高砂市)に水素製造から発電までにわたる技術を世界で初めて一貫して検証できる「高砂水素パーク」を整備すると発表した。今後、関連設備を順次拡充し、2025年に大型ガスタービンで30%混焼、中小型では100%専焼の製品を商用化する予定。
高砂水素パークは、同製作所構内の実証設備複合サイクル発電所(通称:第二T地点)に隣接させて整備する。現在、2023年度の稼働開始に向け、水素製造・貯蔵およびガスタービンでの水素燃焼技術の試験・実証運転に着手できるよう準備を進めている。水素製造設備は、水電解装置の採用に加え、メタンを水素と固体炭素に熱分解することによるターコイズ水素の製造など、次世代水素製造技術の試験・実証を順次行う予定。
高砂製作所では、開発から実証・検証までの⼀貫体制を構築しており、⽔素ガスタービンのキーコンポーネントである燃焼器は、開発拠点(総合研究所)での開発から、設計、製造工場での実機の製作、実証設備において実機レベルで検証するまでの体制を築いている。三菱重工のガスタービン開発は、基本設計の段階で各要素の検証試験を実施し、その結果を詳細設計に反映させ、最終的に実機を用いた実証を行うもの。この開発サイクルを同一工場内で実施することで、より迅速かつ確実な開発・製品化を進めてきた。
第二T地点では、世界で初めてガスタービン入口温度1,650℃の高温化を達成した次世代高効率大型ガスタービンJAC(J-series Air-Cooled)形の長期実証に向け、地域の電力網に接続された状態で実際の発電所と同じ運用を行いながら、新開発技術の長期的な信頼性検証を実施している。これは、世界で三菱重工以外に類を見ない設備で、出力 56万6,000kW の最新鋭ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備として、2020年7月1日に長期実証運転を開始したもの。
2025年の商用化に向け、大型ガスタービンについては第二T地点でJAC形を用いて水素30%混焼発電を検証します。また、中小型ガスタービンでの水素100%専焼も、H-25形ガスタービンでの水素燃焼の実証を行う。
三菱重工グループは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、エナジートランジション戦略を推進しており、その一環として既存のエネルギー・インフラ技術と水素関連技術のさらなる融合・進化を通じ、水素の製造から利用までのバリューチェーン構築に取り組んでいる。このアプローチをさらに発展させ、水素を軸にさまざまな産業を結びつけることで持続可能な社会を形成するための「水素エコシステム」の確立も目指しており、水素パークでの実証を通じて実用化を加速していく。
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