NTN、小型・軽量のトルクダイオードを開発

・産業機械の小型・軽量化に貢献し、省エネルギー化と安全性を向上

 NTNは2月9日、逆入力遮断クラッチ「トルクダイオード(R)」の新たなラインアップとして、従来品に対して外輪外径を1/3(10mm)、重量を1/14(5g)にした小型・軽量のトルクダイオード「TDL8」を開発したと発表した。

 「トルクダイオード(R)」は、モータと変速機など2つの動力伝達軸の間に使用し、入力軸からの回転(トルク)を出力軸に伝達し、出力軸からの回転(トルク)は入力軸に伝達しない逆入力遮断クラッチ。トルクダイオードには、出力軸を回転させようとしても、出力軸がロックされ、入力軸へ回転を伝達しないロックタイプと、出力軸を回転させると、出力軸が空転し、入力軸へ回転を伝達しないフリータイプの2種類がある。

 ロックタイプのトルクダイオード(以下、TDL)は、外輪と内輪、保持器、ころ、ばね、側板で構成されており、顧客で用意される入力軸とともに使用する。入力軸の回転は、内輪と一体化した出力軸に伝達される一方、入力軸が回転しない場合には、ころとばねが出力軸をロックし、逆入力を遮断する。同様の機能を持つ電磁ブレーキと比べて、TDLは電気や配線が不要となるため、搭載機器の省エネルギー化が可能となるほか、停電時における安全性能にも優れている。

 これらの特長を活かし、TDLは意図せぬ出力軸の回転を防止するための逆入力防止機構や、停電時など入力軸の回転が停止した際の安全確保を目的とした落下防止機構などに使用されている。例えば自動車においては、シート座面の高さ調節時に、レバー操作によりシートを上下させ、操作がない時はその高さを保持するシートリフタ機構に採用されている。

 今回開発した小型・軽量トルクダイオード「TDL8」は、新たに開発した極小径のころに加え、従来よりも省スペースを可能とする独自形状のばねを採用することで、同社従来設計を適用した同サイズの商品に比べ、ころを多く組み込んでいる。これにより、従来品「TDL28」から1/3の小型化となる外輪外径10mmと1/14の軽量化となる重量5gを実現した。

 開発品は、従来品から大幅な小型・軽量化を実現しており、搭載機器の小型・軽量化・省エネルギー化に貢献する商品。また、搭載機器を小型化することができれば、その機器を加工するために必要な電力や切削液、工具の消費などを抑えることもでき、機器の製造時における省エネルギー化や環境負荷の低減にも寄与する。

 世界全体でカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが進められる中、NTNは本商品を逆入力防止機構や落下防止機構を持つ機器をはじめとする各種産業機械向けに幅広く展開し、機器本体やその製造時における省エネルギー化を通じて持続可能な「なめらかな社会」の実現を目指していく。

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