㈱牧野フライス製作所が1月31日に発表した2022年3月期第3四半期(2021年4~12月)連結業績によると、売上高1,228億72百万円(前年同期比57.3%増)、営業利益51億93百万円、経常利益71億31百万円、純利益58億60百万円となった。連結受注は1,752億30百万円(前年同期比112.8%増)となった。第3四半期の受注は前年同期に対して倍増した。新型コロナウイルス感染症からの経済活動の立ち直りに伴い、受注が集中する状況が継続した。
■セグメント別の受注状況(現地通貨ベース)
<セグメントⅠ>(「個別」および国内連結子会社)
牧野フライス製作所の国内受注は、前年同期を上回った。自動車の金型向けと、半導体製造装置の部品加工向けを中心に様々な産業で増加した。第4四半期も同様の状況が続き、前年同期を上回ると見ている。半導体製造装置の部品加工に、当社の航空機向け大型機を転用する取り組みが広がっている。また、航空機向けの部品加工をされるお客様が、半導体製造装置向けのビジネスに進出されている。
医療関連では、コロナウイルスワクチンの注射器のプラスチック金型やゴム金型のほか、手術器具の部品加工向けの引き合いも増えてきた。感染症による影響で、密を避けるレジャー関連の需要が好調である。工作機械メーカの受注が活況にあることで、その部品加工向けの受注も増えている。これらに加え、レーザ加工機の受注もあった。
<セグメントⅡ> ( MAKINO ASIA PTE LTD )
アジアの受注は、全ての地域で前年同期を上回った。中国は、まとまった受注を獲得した第2四半期に比べ減少した。前年同期比では上回った。電気電子の金型向けや、自動車の金型および部品加工向けが好調を維持した。第4四半期は、第3四半期に比べ受注は減少する見込み。春節による影響や、北京オリンピック開催に伴う移動制限の影響が出ると見ている。前年同期比では上回る見通し。
インドは、前年同期を上回った。自動車向けの受注が中心である。第4四半期は自動車の金型や、一般機械向けで大型機の引き合いがあり、これらを受注に結びつけることで、前年同期を上回るよう努める。
アセアンは、前年同期を上回った。自動車の金型と、半導体製造装置の部品加工向け受注が中心だった。第4四半期も同様の状況が続き、前年同期を上回ると見ている。
<セグメントⅢ> ( MAKINO INC. )
前年同期を上回った。自動車のピックアップトラックや大型トラックの部品加工向け、インプラントなどの医療関連や半導体製造装置の部品加工向けの受注は、上期の水準に対して落ち着いてきた。前年同期に対しては増加しており、堅調を維持している。航空機向け受注は、低迷した状況から底を打ち、上昇に転じた。全体としては、高水準を維持する結果となった。サプライチェーンの混乱や、新型コロナウイルスの影響により、顧客が設備投資に対して以前よりも慎重になっている。その中でも、第4四半期は前年同期を上回る受注を維持する見通し。
<セグメントⅣ> ( MAKINO Europe GmbH )
設備投資需要の回復に伴い、自動車、半導体製造装置、医療関連、航空機など、様々な産業から受注があり、前年同期を上回った。第4四半期は、顧客の決算期後の季節要因等により、第3四半期に対し減少する見込みである。前年同期比では増加傾向を維持すると見ている。現在の受注は一時的に強い需要に支えられ、高水準で推移している。この状況はしばらく継続すると考えている。
同社は電子部品などの精密金型、半導体製造装置、インプラントなどの医療関連、新エネルギー車(NEV)など、今後も継続して成長が見込める市場に向けた技術開発、提案の拡充に取り組んできた。今後、需要が集中した反動により調整を受ける場合でも、引き続き成長市場からの受注を取り込み、売上増に努める。同社は、製造支援モバイルロボットiAssistを用いて社内の機械加工や組み立て工程の自動化を進めており、その実績を顧客に展開している。21年12月に厚木工場内に構築した5Gネットワークは、工場にサーバーを置かず、安全な閉域網を経由したクラウドサーバ上でiAssistの制御が可能である。これにより、同社の先進的な自動化システムを、安価で、かつ安心して顧客に利用してもらえるよう取り組んでいる。
■連結業績予想に関する定性的情報
通期の連結業績予想は、下記の前回公表値(2021年10月29日公表)を修正していない。
売上高1,720億円(前期実績1,167億37百万円、前期比47.2%増)、営業利益80億円(前期△3,612百万円)、経常利益94億円(同△1,374百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益78億円(同△2,703百万円)。
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