コマツが1月31日に発表した2022年3月期の第3四半期(2021年4~12月)連結業績によると、売上高は2兆146億円(前年同期比33.1%増加)となった。建設機械・車両部門では、前年同期における新型コロナウイルス感染症の影響が縮小し、一般建機・鉱山機械ともに中国以外の地域において需要が好調に推移した。海上輸送の逼迫や半導体不足の影響があるものの、クロスソーシングの活用などにより新車需要の拡大を着実に取り込みました。部品・サービス売上げも増加したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。産業機械他部門では、鍛圧機械、板金機械、工作機械については各国で経済活動の規制が緩和され、海外での据付け工事の完了などにより売上げが増加した。また、世界的に半導体需要が増加し、エキシマレーザー関連事業の売上げが伸長したことから、売上高は前年同期を上回った。
利益については、建設機械・車両部門において、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、各地域での販売量増加や販売価格の改善、円安の影響により、営業利益は2,237億円(前年同期比108.1%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を4.0ポイント上回る11.1%、税引前四半期純利益は2,243億円(前年同期比117.0%増加)、当社株主に帰属する四半期純利益は1,555億円(前年同期比135.7%増加)となった。
コマツは、2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – FORWARDTogether for Sustainable Growth」において、①イノベーションによる価値創造、②事業改革による成長戦略、③成長のための構造改革 を成長戦略3本柱として掲げており、将来に向けて収益向上とESG(環境・社会・ガバナンス)の課題解決の好循環による持続的成長を目指して活動を継続している。また、2050年カーボンニュートラル実現に向けての長期ビジョンを宣言した。2021年度は中期経営計画の最終年となる。
中期経営計画においてESGの経営目標として掲げている「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ ワールドインデックス」に選定された。また、国際的な非営利団体CDPにより、「気候変動対策」及び「水セキュリティ対策」においてAリスト企業と認定された。
■部門別の概況
[建設機械・車両]
建設機械・車両部門の売上高は1兆8,455億円(前年同期比33.6%増加)、セグメント利益は1,918億円(前年同期比113.3%増加)となった。
中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる価値創造」においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の強化に取り組み、12月末時点の総稼働台数は累計477台となった。また、スウェーデンの銅鉱山向けにコマツとして欧州では初めてとなるAHS導入を進めた。
電動化の取り組みでは、中小型油圧ショベルは、量産化に向けた実証実験を顧客の現場で開始した。坑内掘りハードロック向け鉱山機械については、リチウムイオンバッテリーシステムの供給を受ける協業契約を締結した。
「事業改革による成長戦略」では、都市土木作業に特化して仕様を最適化した油圧ショベルCEシリーズ「PC200-10M0」を活用した2ラインモデル戦略を進め、東南アジア地域内での導入国を増やすとともに、中国への市場導入も開始した。
「成長のための構造改革」では、アフターマーケット事業の強化のため、氷見工場内に新シールリング工場を建設し、足回りコンポーネント部品であるシールリングの生産性の大幅な向上と省人化、CO₂排出量半減を実現した。世界需要の変動に対して柔軟に生産を調整するクロスソーシングを強化するため、中国生産法人の完全子会社化に合意し、グローバルな輸出拠点としての機能強化を進めた。
■地域別の概況
<日本>
日本では、新型コロナウイルス感染症の影響が小さく、公共工事及び民間工事向けともに需要が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期を上回った。
<米州>
北米では、一般建機の需要は、エネルギー関連向けは低調であるものの、住宅建設、インフラ、レンタル向けが好調に推移した。加えて、鉱山機械の販売が増加したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。
中南米では、一般建機・鉱山機械ともに需要が好調に推移した。主にチリの銅鉱山向け鉱山機械の販売が増加したことや、中南米各国において経済活動の再開に伴い一般建機需要が好調に推移したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。
<欧州・CIS>
欧州では、景気下支え策の影響などにより主要市場であるドイツ、英国、フランスに加えイタリアにおいてもインフラ向けの需要が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。
CISでは、インフラ及びエネルギー関連向けの一般建機の需要が好調であることに加え、金鉱山向けなどの鉱山機械及び部品販売が好調に推移したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。
<中国>
中国では、新型コロナウイルス感染症の影響により前年同期に発生した春節後の販売シーズンの後ろ倒しの影響がなくなったことや、インフラ投資の停滞などにより需要が低迷した。また、中国メーカーの販売比率上昇の影響もあり、売上高は前年同期を大幅に下回った。
<アジア・オセアニア>
アジアでは、インドネシアにおける石炭向け鉱山機械の需要が好調であったことに加え、インドネシア、フィリピンなどにおける一般建機の需要が好調であったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。
オセアニアでは、鉄鉱石や石炭向け鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。
<中近東・アフリカ>
中近東では、サウジアラビアでの一般建機の需要が引き続き堅調であることに加え、UAEのインフラプロジェクト向けなどの販売が増加したこともあり、売上高は前年同期を大幅に上回った。
アフリカでは、南部アフリカ地域・その他地域ともに鉱山機械及び一般建機の需要が引き続き好調であったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。
[リテールファイナンス]
リテールファイナンス部門では、一般建機・鉱山機械の販売増加に伴い、新規取組高が増加したことから、売上高は545億円(前年同期比10.2%増加)となった。セグメント利益は、リースアップ車の評価額が改善したことに加え、前年同期における新型コロナウイルス感染拡大時に実施した支払猶予の影響がなくなったことなどから、132億円(前年同期比62.5%増加)となった。
[産業機械他]
産業機械他部門では、鍛圧機械、板金機械、工作機械については、新型コロナウイルス感染症の影響縮小に伴い、各国で経済活動の規制が緩和され、海外の顧客の現場における据付け工事の完了などにより売上げが増加した。また、世界的に半導体需要が増加し、エキシマレーザー関連事業の売上げが伸長したことから、売上高は1,318億円(前年同期比29.3%増加)、セグメント利益は150億円(前年同期比67.8%増加)となった。
コマツ産機(株)では、昨年11月に「MF-TOKYO2021 Online」に出展し、産機Komtraxで実現する製造業のDX化など、顧客の現場の生産性向上や機械の予知保全に貢献する取り組みを紹介した。
■連結業績予想に関する定性的情報
下記のとおり、昨年10月28日に公表した2022年3月期の連結業績予想に変更はない。
売上高2兆6,830億円(前期比22.5%増、前回予想2兆4,690億円)、営業利益2,820億円(同68.5%増、同2,250億円)、税引前当期純利益2,770億円(同70.2%増、同2,170億円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,870億円(同76.0%増、同1,460億円)。
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