日本冶金工業、川崎製造所に約110億円の戦略投資

・薄板工場に高効率冷間圧延設備導入と既設冷間圧延設備の改造を決定

 日本冶金工業(東京都中央区)は1 月 25 日、同日開催の取締役会において、川崎製造所(神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号)への戦略投資の一環として、 薄板工場に高効率冷間圧延設備の導入、及び既設冷間圧延設備の改造を決定したと発表した。

 日本冶金工業は、国内外において競争力のあるステンレス特殊鋼メーカーとしての一層の事業基盤強化を目指して、現中期経営計画(2020~2022 年度)で「戦略設備投資の実行と技術力の更なる向上による競争力強化」を掲げ、その実現に向けた戦略設備投資を計画してきた。

 今回の案件は、川崎製造所においては昨年末に竣工・起動した新電気炉投資に続くもので、現中期経営計画における戦略設備投資の柱となる。顧客に最も近く品質レベルアップが求められる薄板工場で、先に決定しているスリッターラインの新設・改造に続き、今回の冷間圧延設備への投資により、更なる安定供給体制の構築と省力化を伴う作業環境の改善を企図している。

 なお、日本冶金工業は目指すべき姿として「レジリエントカンバニー」の実現を掲げ、サステナビリティへの取り組み を進めている。

 具体的には取締役会で議論のうえ特定した6つの「重要課題」(添付資料参照、日本冶金工業ホームページに「サステナビリティレポート」全ページを掲載)に対する取組みを行っており、 今回の投資もその施策に該当する。

 引き続き、持続可能な社会の実現とともに、日本冶金工業グループ自 らの持続可能性を高める取組みを進めていく。

<目的>
(1) 安定且つ効率的な生産体制の確立

 日本冶金工業の戦略商品である高機能材製品(※)の需要増並びに、製品の薄物化により設備能力不足となっている冷間圧延工程において、既存の冷間圧延設備 2 基に替えて最新鋭の技術を装備した冷間圧延設備1基を新設するとともに既存の冷間圧延設備1基については能力増強の改 造を実施する。

 今回の投資に伴い、従来の冷間圧延設備 3 基操業から高効率な冷間圧延設備 2 基操業に転換し、需要に合わせての製品供給能力を確保するとともに、生産効率の向上と更なる品質の安定化を実現し、顧客の多様なニーズに迅速に対応可能な生産体制の構築を進めていく。

※ニッケルを 20%以上含有する高ニッケル合金のフラット製品

(2) 作業環境の改善並びに省力化

 新設する冷間圧延設備は、従来のモノブロック方式に替えてスプリットブロック方式(注1)を採用し通板作業の容易化、設備トラブル時の処置作業時間の短縮を実現するとともに、高性能自 動形状制御機能を付加することで圧延条件設定の自動化等、大幅な作業負荷の軽減と省力 化を実現する。

 また、同時に建屋を新設するとともに設備のヒューム吸引装置(注2)を大型化することで、従来以上に作業環境を改善する。

注 1)スプリットブロック方式:ハウジングが上下に分割された構造となっているもの
注 2)ヒューム吸引装置:圧延設備を大型フードで覆い圧延時に発生する圧延油ヒュームを捕集

<設備投資の概要>
(1) 投資内容 : 4 フィート幅用スプリットブロック式 20 段冷間圧延設備並びに付帯設備・建屋新設、 既設 5 フィート幅用 20 段冷間圧延設備改造
(2) 総投資額 : 約 110 億円 ※川崎臨海部産業競争力促進補助金の申請を予定
(3) 稼動開始 : 2024 年 11 月予定
尚、現時点で本件が 2022 年 3 月期の連結業績に与える影響は軽微。

 詳細は、ニュースリリース