●年頭所感 (一社)日本ロボット工業会 会長 小笠原 浩

 新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 さて、新型コロナウイルス禍は、我が国ではワクチン接種の促進等でその感染状況に大幅な改善がみられるものの、世界的には新たなオミクロン株により再び感染拡大の状況にあり、3年目となる今年においても未だ収束の兆しが見られず、引き続き予断は許されない状況にあります。

 一方で、このようなパンデミックにあっても世界経済は回復の状況にあり、国際通貨基金の見通しでは、2021年の成長率は世界全体では対前年比5.9%、日本については同2.4%の伸びとみられています。また、2022年の見通しにおいては、世界全体での成長率を4.9%とするものの、インフレ加速リスクを挙げており、インフレ率の急激な上昇が懸念材料となっています。

 このような状況の下、2021年の我が国ロボット産業は、半導体をはじめとする部品不足の影響が大きく見られましたが、堅調な中国を中心とする外需増が輸出市場を牽引するとともに、国内市場での回復基調も見られたことで全体として2桁台の大きなプラス成長となりました。これにより2021年は、受注額で対前年比27.7%増の約1兆970億円と初めての1兆円超えとなるとともに、生産額では26.5%増の約9,700億円となると見込まれます。

 そして、本年のロボット市場は、部品不足の問題は徐々に改善されることを期待するとともに、従来からの引き続き高い自動化需要に支えられ受注額は対前年比3%増の1兆1,300億円、そして生産額は5.2%増の1兆200億円と生産額においても初の1兆円超えを期待しております。

 このような中、本年10月1日をもって創立50周年を迎えます。この50年を節目に、当会及び我が国のロボット産業の歩みを回顧するとともに、「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」を統一テーマに、次の半世紀に向け広く社会において実現が期待されるロボットの有り様について展望・発信するための各種記念事業をこの1年間で実施致します。

 具体的には、①記念ロゴの制作、②主催展示会でのパネル展示(ロボット技術及び産業の変遷、工業会の歴史等)、③10月13日の記念式典・表彰式と祝賀会、④10月13日~14日での記念シンポジウム、⑤ロボット産業ビジョン2050の策定、そして⑥50年史の編纂の各事業を実施致します。
これら記念事業を通じて更なるロボットの健全な普及とロボット産業の発展を目指すこととしています。

 記念事業に加え、当工業会の活動の柱となっている「市場拡大に向けた取組」、「イノベーションの加速化」、そして「国際標準化の推進、国際協調・協力の推進」の三つを重点項目として業界活性化のさらなる推進に向け、活動を行うこととしています。

 特に本年は、3月9日~12日にかけ「2022国際ロボット展」を、6月15日~17日には、昨年、一昨年と2年続けて中止となっていた「2022実装プロセステクノロジー展」を、そして10月19日~21日には「Japan Robot  Week 2022」と3つの展示会を開催致します。これらの展示会を通じて技術情報の発信とともに様々な分野へのロボット利用拡大への意欲を喚起するとともに、市場調査、技術振興等の各事業についても意欲的に展開する所存です。

 引き続き関係各位の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご活躍とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

 日本ロボット工業会HP