昨年は、日米で政権が代わり、世界を見ると米軍のアフガン撤退、中国化が加速する香港やウイグルの人権問題、ミャンマークーデター、また、経済に目を向けると、世界的な原油・資源の高騰、半導体不足による自動車産業を始めとした多くの工場での減産、加えて米中貿易摩擦から経済・軍事両面での覇権争いへと移行しつつある大国間の新たな緊張関係が引き起こされました。今年の北京冬季オリンピックの開催に向けて、外交的ボイコットなどの動きも出ており、今年も一層緊張が続く気配もあり、これが経済動向に波及していくのかも注視して行く必要があると思います。
さて、今年は、脱炭素社会、デジタル社会に向けての動きが加速すると思われます。昨年縦割り行政の弱点を排除し国のデジタル化を推進するためにデジタル庁が発足し、マイナンバーカードの活用なども含め、デジタル・トランスフォーメーションの社会実装に向かった動きが出てきております。当業界では、特に、無人化・省人化に向けた「デジタル」の取り組みの重要性が増しています。AIを活用した工場の無人化稼働や遠隔監視の導入などのデジタル・トランスフォーメーションの推進は、生産性の向上や競争力強化に資するのみならず、効率的なデータ収集や有事の際の企業間・工場間の連携を通じたレジリエンス強化といった観点からも、大変重要な取り組みと考えており、工業会としては、これら課題に取り組んでいくため、昨年新たに、IoT推進部会を発足させたところであります。
カーボンニュートラルに関しましては、当業界では、省エネ化製品の一層の開発に努めておりますが、昨年開催したIFPEX2021で、今後のカーボンニュートラル社会を見据え、「新たな時代に向けた挑戦」と題し、「地球環境とものづくりに貢献するフルードパワー」を広く紹介しました。国内外に向けて日本のフルードパワー業界の新たな時代に向けた挑戦を広く発信出来たと確信しております。
このような状況下、業界の中でも解決すべき様々な課題が出てきております。それを乗り越えていくには、競争と協調の中で皆の知恵を結集していくことが大切だと考えます。最後に、本年が良い年になるよう祈念して、年頭の所感とさせていただきます。
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