NECファシリティーズ、ベーリンガーインゲルハイム製薬から山形工場の改修工事を受注

・医薬品製造業向け建築施工に本格参入

 NECファシリティーズ(本社:東京都港区)は12月9日、ベーリンガーインゲルハイム製薬(本社:山形県東根市)より、山形工場内の製造環境改善と生産効率向上に向けた「Yamagata GMP upgrade改修工事」を受注したと発表した。NECファシリティーズは、2022年7月着工、同年10月竣工に向けて、GMP(注1)要件に対応した製造室(クリーンルーム)の改修工事を実施していく。

■背景と概要

 ベーリンガーインゲルハイム製薬は、ベーリンガーインゲルハイム(本社:ドイツ)の生産拠点として、高度な製剤技術と最新鋭設備に加え、徹底した品質管理により医薬品を提供している。今回、NECファシリティーズは、ベーリンガーインゲルハイム製薬の工場内ファシリティの改善に向けて、工場の稼働停止期間を最短にとどめながら以下の改修工事を行う。

1.製造室 室間差圧強化及び一部ゾーニングの変更

2.製造機器移設とそれに伴う室内ユーティリティの準備・製造室建具の改修

 医薬品製造施設ではGMPに基づき、クロスコンタミネーション(注2)の防止やハザード対応のコンテイメント技術(注3)といったノウハウが求められるが、NECファシリティーズは半導体製造工場の構築で培った技術、実績とノウハウを活用して医薬品製造施設の事業領域に本格参入することにした。

 それに伴い、NECファシリティーズ組織におけるGMP、バリデーション(注4)の知識を有するプロジェクトマネジメント人材の採用・育成に注力し、ゾーニング、動線計画、レイアウト、自動化等に寄与する様々な施設構築サービスを提供していく。

■今後の展開

 今回の受注はこのような取り組みが評価された結果で、NECファシリティーズは今後、建築施工にとどまらず、施設管理、環境、不動産、保険といった他事業によるTotal IFM(注5)を活かし、ベーリンガーインゲルハイム製薬の工場の安定稼働と製造効率化に貢献する。

 またNECファシリティーズは、今回の受注を契機としてGMP、バリデーションに関わる案件に全国の拠点と本社が連携して積極的に取り組み、医薬品製造業の建築施工事業において2021年から2025年までの累計で168億円の受注を目指し、事業を拡大していく。

 NECファシリティーズは、今後も顧客の工場ライフサイクルマネジメント(Factory Life Cycle Management)に貢献し、顧客価値の最大化を推進する。

<建物情報>

名称:ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社

所在地:山形県東根市大字東根甲5353-1

敷地面積:約72,000m2

今回対象延床面積:約17,600m2 製造所/鉄骨造一部2階建て(2022年10月 竣工予定)

注1 GMP Good Manufacturing Practiceの略で、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準。

注2 クロスコンタミネーション 工程や製造する製品が2つある場合に一方の製品がもう片方の製品の製造過程に混ざり、異物混入になること。

注3 コンテイメント技術 人体に有害なハザード物質が施設の外に漏れないよう封じ込める技術。

注4 バリデーション 医薬品・医療機器を製造する工程や方法が正しいかどうかを科学的根拠や妥当性の観点から検証する業務。

注5 Total IFM(Integrated Facility Management) NECファシリティーズの持つ施設管理・建設・環境・不動産・保険の5つの事業のシナジーにより、製造業の工場を中心にお客様の事業活動の「探す」「建てる」「使う」「守る」を提供。

 ニュースリリース